2012-01-01から1年間の記事一覧

子どもの身体的痛みのメカニズム

五十嵐恒雄 子どもの身体的痛みのメカニズム 小児看護 2011;34(8):942-948 小児の発達と痛み 小児心身医学会ガイドライン集より 新生児期の痛み経験は、副腎皮質ホルモンなどの内分泌環境に影響を与え、成長後の痛みの個体差に影響するといわれている 被虐待…

子どもの心因的痛みの評価と対応

山本直示 子どもの心因的痛みの評価と対応 小児看護 2011;34(8):962-968 痛みに大きな影響を与える心理的要因として、症状(痛み)が生じることで利益を得るという疾病利得があげられる 心因的痛みは、長期に持続し、訴えることで子供の要求を満たす手段とな…

歯痛・顎関節痛

豊高明 歯痛・顎関節痛 臨牀と研究 2012;89(2):195-199 実際に処置をいくら繰り返しても頑固に続く「歯痛」がすくなからず経験される。このような歯痛は、非定型歯痛atypical odontalgiaと呼ばれる 「歯痛は歯を抜けば治るはず」という一般通念から、患者は…

複合性局所性疼痛症候群 CRPS

植松弘進、柴田政彦 複合性局所性疼痛症候群 CRPS 臨床と研究 2011;89(2);189-194 最近では CRPS患者で見られる異常感覚、運動異常を心理的異常ととらえずに、脳機能障害ととらえる報告が増加して来ている。CRPS患者においては脳卒中後にみられる空間無視(ne…

頭痛

小田原幸、佐谷健一郎、坪井康次 頭痛 臨牀と研究 2012;89(2):156-161 心身医学的治療の2つの側面 発症及び症状の持続に心理社会的因子が関与している可能性が考えられるため、この部分への介入を行うことにより、症状の発症・持続因子を除去し、症状を顕現…

痛みの診断の進め方

北川泰久 痛みの診断の進め方 臨牀と研究 2012;89(2):147-151 患者が痛みを訴えるのは大脳皮質での痛みをこらえる閾値が限界を超えるためにおこるのであって、痛みの侵害刺激が痛みの閾値の限界を超えたためにおこるのではない。 痛みの原因は身体的な障害に…

痛みの概念と増加する痛みの現状

細川豊史 痛みの概念と増加する痛みの現状 臨牀と研究 2012;89(2):143-146 現在では痛みは我慢するべきものではなく、痛みを放置することは寿命さえも縮めることになるとの正しい解釈が一般的になっている 痛みの定義 1981 IASP 実際に何らかの組織障害が起…

松平浩 卒後研修講座 知っておきたい腰痛診療上の知識 整形外科 2011;62(10):1119-1127

椎間板変性、ヘルニア、狭窄、骨棘、すべりといった以上と説明しがちな画像所見は、腰痛症状の有無にかかわらず一般集団にみられ、すくなくともこれらが重要視すべき腰痛との関連要因とはいえず、特異的腰痛が否定されれば、画像検査を慣例的に行なっても、…

松平浩 心理社会的要因の関与が強い慢性腰痛の病態とアプローチ法 脊椎脊髄 2012;25(4):252-258

痛み刺激が加わった時にも、腹側被蓋野に活動電位の群発射がおこり、十分量のdopaminが側坐核などに向けて放射される。側坐核ニューロンが興奮すると脳内μ-opioid受容体も活性化し、下行性痛覚抑制系を介して脊髄後角レベルで侵害情報が抑制される。誰の脳に…

厄介な痛みを主訴とする患者への対応

松山幸弘 厄介な痛みを主訴とする患者への対応 整形外科 2012;63(10):1032 難治性疼痛を治療することは容易ではなく、根気がいる。私達治療する側の心構えとして大事な点を3点あげる 局所所見や画像所見が陰性でも、患者の痛みを否定する発言は避けるべきで…

「超」入門 失敗の本質

「超」入門 失敗の本質「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ作者: 鈴木博毅出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2012/04/06メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 181回この商品を含むブログ (43件) を見る 想定外の変化…

神経障害性疼痛、脳内メカニズム

竹下克志、原慶宏、住谷昌彦 神経障害性疼痛 整形外科 2012;63(8):717-721 神経障害性疼痛には混乱・誤解があり、その一因として痛みにかかわるさまざまな研究者・各科臨床医によってその概念が異なることがある 脊椎外科医にとっては、神経圧迫のない状態で…

西原真理 心理的背景 整形外科 2012;63(8):731-735

疼痛性障害とは、「痛みが強く、それがさまざまな機能障害を起こしており、心理学的背景が症状に影響していると思われるもの」ということになる 運動器慢性疼痛を考える場合に、変形性膝関節症、椎間板ヘルニアなどの治療を行うと同時に、痛みを増強する心理…

 水野泰行 痛みと心理 治癒から変化へのパラダイムシフト Practice of Pain Management 2012;3(2):138-139

痛みを訴える患者さんの治療では、まず「信頼関係の構築」が不可欠であり、患者さんが自分で治療をしていくのをサポートする姿勢が大切である。そこで重視して欲しいのが、「変化」という視点である。医師が患者さんを変えていくのではなく、患者さん自身が…

福島県立医科大学 リエゾンカンファレンス

紺野慎一 福島県立医科大学 リエゾンカンファレンス Practice of Pain Management 2012;3(2):114-129 リエゾン治療のポイント まず大切なのは、整形外科医が患者さんの痛みをすべて受け入れ、「大変ですね」と共感を示すことです。 慢性疼痛において、患者さ…

水村和枝 痛みの基礎研究に携わって 日本運動器疼痛学会誌 2012;4(1):3-5

遅発性筋痛 ミステリアスに運動から痛覚過敏まで一日程度の潜時がある。このミステリーをなんとか解けないかと思った 遅発性筋痛 COX-1阻害剤は無効。 COX-2阻害剤は運動前に投与すれば遅発性筋痛発生そのものを抑制した。しかし、痛くなってから投与したの…

柴田政彦 痛みに関する適切な知識や情報の普及 日本運動器疼痛学会誌 2012;4(1):1-2

痛みは主観であるために客観化、即ち痛みそのものを正確に測ることができないのは自明である では科学として、あるいは医療、なし社会がこの測れない「痛み」をどのように扱ったらよいかが問題となる。そこでまず重要なのが「適切な知識や情報の普及」だと考…

水村和枝 筋・筋膜性の痛み Practice of pain management  2012;3(2):104-109

筋が伸張を受けながら収縮する伸張性収縮が、遅発性筋痛を生じることが知られている 遅発性筋痛の発生機構 乳酸説、筋スパスム説、結合織損傷説、筋損傷説、炎症説、酵素流出説などの仮説が唱えられている 痛みのある時期に乳酸値は高くなく、これは遅発性の…

座談会 肩こり

座談会 肩こり Practice of pain management 2012;3(2):76-86 肩こりの有訴率(3年ごとの厚労省調査) 女性一位、男性二位 矢吹 精神的なストレスは肩こりを増強させますので心理的な因子も評価しておく必要があると思います。 矢吹 私は肩こりとは筋の症状…

労災病院データベースを用いた腰椎椎間板ヘルニア手術例の実態調査

山田浩司、松平浩、有坂真由美、野間香、三好光太、小西裕昭 労災病院データベースを用いた腰椎椎間板ヘルニア手術例の実態調査 J Spine Res 2011;2:1082-1087 2006/4-2009/3 3年間に腰椎椎間板ヘルニアの手術症例を労災病院データベースを用いで後ろ向き研…

慢性非特異的腰痛における運動器リハビリテーションの役割

星野雄一 慢性非特異的腰痛における運動器リハビリテーションの役割 Monthly book orthopedics 2012;25(7):93-97 原因をスッキリとは説明しにくい非特異的腰痛は、言葉を尽くして説明する必要がある。 腰痛の85%は原因のはっきりしない非特異的腰痛であるこ…

急性腰痛の保存療法

金岡恒治 急性腰痛の保存療法 Monthly book orthopedics 2012;25(7):35-38 骨折、腫瘍、感染などいわゆるred flagと呼ばれるような病的要因以外の腰痛性疾患の疼痛源としては、(1)変性し神経組織の侵入した椎間板線維輪、(2)滑膜関節であり侵害受容器の豊富…

松平浩、藤井朋子 新たな視点に立った腰痛の原因、危険因子、分類 Monthly book orthopedics 2012;25(7):7-13

腰痛の原因、慢性・難治化する危険因子とも、脊椎への負荷にかかわる問題が主因の場合、すなわち脊椎dysfunctionと、心的ストレスが主因となる場合、すなわち脳dysfunctionに分けて考えると理解しやすい。脊椎と脳のdysfunctionは共存しうるが、臨床医は種々…

松平浩、磯村達也、犬塚恭子、石塚朗子、有坂真由美、藤井朋子 心理社会的要因は、仕事に支障をきたす慢性腰痛への移行につよく影響しているか 厚生の指標 2012;59(1):1-6

我が国での産業衛生的アプローチは、画像所見を参考にしつつ人間工学的問題を主に対策を講じているのが現状であり、心理社会的要因にも十分に配慮したうえで危険因子を探る目的の前向き研究はほとんどおこなわれてこなかった そこで我が国における勤労者の「…

知ることの重み、感じることの痛み

佐藤恵美子 知ることの重み、感じることの痛み 精神科看護 2011;38(12):010-014 私達の職業は対人専門職従事者といわれる”人相手の職業”である。ある意味、その人を丸ごと受け止めるという姿勢が必要なのではないかと思うのである 歴史というものは形を変え…

神経障害性疼痛診療ガイドブック

神経障害性疼痛診療ガイドブック作者: 小川節郎出版社/メーカー: 南山堂発売日: 2010/04/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログを見る 神経障害性疼痛 IASP 1990 pain initiated or caused by a primary lesion or dysfunction in …

小児に特有な痛み

稲毛康司 小児に特有な痛み 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):792-800 疼痛は、環境や発達過程、社会文化や生活体験など各要因により相互に関係付けられる感覚的、感情的、認知的、かつ行動の構成要素に影響をうけます。疼痛が、我慢出来ないほどに達した時、疼…

CRPSの診断と病態、治療

柴田政彦、住谷昌彦、真下節 CRPSの診断と病態、治療 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):757-762 外傷後に痛みの遷延する場合、末梢神経の損傷の有無を判定することが困難な場合は少なくない 関節拘縮とは器質的な変化によって可動域が制限されることをいい、麻…

住谷昌彦、山田芳嗣 神経障害性疼痛の治療 麻酔科学レクチャー  2010;2(4):741-749

神経障害性疼痛の定義 体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛 pain arising as a direct consequence of a lesion or disease affecting the somatosensory system 神経障害性疼痛の治療目標 神経障害性疼痛では、神経障害を核と…

痛みに関する心理テストとその意義

福井弥己郎 痛みに関する心理テストとその意義 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):621-626 慢性疼痛の評価のうちで、もう一つ重要なことは患者の活動レベルの評価です。VASだけで患者の評価を行うと、医師が患者に操作されるということにつながり、患者の痛み行…