牛田享宏

牛田享宏 運動器における痛みとしびれの診療:集学的治療の必要性 日整会誌 2013;87:1151-1156

現在行われている整形外科の治療体系は理学所見や画像所見に基づいて診療することが基本であるが、慢性的に痛みが続いている患者では、このような従来の生物医学的考え方だけでは症状の緩和につながらないことも多い 慢性痛は器質的な面からだけ見てもさまざ…

牛田享宏 我が国における運動器慢性疼痛の診療体制 Locomotive pain frontier 2012;1(1):24-27

急性痛 痛みには必ず生物医学的な原因があり、その原因を物理的治療法で取り除けば、痛みは寛解し、患者の機能障害は減少する」という生物医学モデル(biomedical model)と呼ばれる考え方に基づいている 長引く運動器の痛みにおいては、罹患部位の器質的異常…

櫻井博紀、牛田享宏 慢性疼痛への理学療法 PTジャーナル 2012;46(2):117-122

運動器の痛みの要因は、画像診断で判別できるようなタイプの構造的な異常によるものよりも、機能的な異常によるものの関与が多いことを示唆 機能的な痛みが出現する部位では、骨関節靭帯とともにった器官だけでなく、筋が大きな役割を演じていることが推察さ…

大道裕介、牛田享宏 慢性疼痛への包括的アプローチ PTジャーナル 2012;46(2):101-109

患者はその痛みのみならず痛みにより引き起こされた苦痛を含めて痛みとして訴え、それを取り除いて欲しいと願う 痛みは伝達とこの不快情動の2つをもって警告信号としての役割を果たす 人間は、「痛い感覚」と不快情動を伴うものである痛みがなくなることを…

牛田享宏、池本竜則、下和弘、新井健一、西原真理  神経障害性疼痛の痛覚認知機構 臨床脳波 2010;52(10):556-563

痛みには苦痛を伴うが、痛みは基本的には末梢からの刺激によって引き起こされることから、患者も治療者も痛みを訴える部分である組織に注目されがちである。しかし、痛みは主観的な感情情動体験である”頭(=脳)”で経験するものである。実際、痛みの強さは…

牛田享宏 施設紹介 愛知医科大学医学部学際的痛みセンター Practice of pain management 2010;1:40-50

当センターは「痛みに対して診療科・職種の壁を越えて取り組む」という理念に基づいて、集学的・統合的な痛み治療の診療・研究の向上に努めています。 受診される患者さんはとにかく痛みだけをとってほしいと受診されるのですが、あえて「痛みをとるというス…

山田雄士、西原真理、新井健一、牛田享宏 学際的アプローチの実際 調剤と情報 2011;17:157-160

運動器の慢性痛患者の治療にあたり、目指すところは“痛みの除去はもちろんだが、除去できない場合には痛みをある程度受け入れた上で、QOL(quality of life)を維持した生活を送ることができる状態にもっていくこと”と考えられる いずれの場合も、ほとんどの患…

西原真理、牛田享宏 慢性の痛みとその課題 調剤と情報 2011;17:153-155 

IASPの痛みの定義で注目すべきは、1.組織損傷そのものによって引き起こされたものだけではなく、「関連があるもの」は痛みとされ、2.痛覚という知覚が中心ではなく、不快さなど情動的な経験をあげている点である 2009年には厚生労働省により「慢性の痛みに関…

牛田亨宏 脊椎脊髄外科的科学的機能診断と近年の基礎的神経生理学、そして痛み医療ーその常識の大きな相違 脊椎脊髄 2010;23(2):87-88

海外の研究室で当時の私を驚かせたいくつかの経験 サルの脊髄を用いたin vivoの実験 痛みの主たる伝導路である脊髄視床路の機能をオンタイムで評価 一個の脊髄後角神経の性質はさまざまであり、脊髄神経(神経根)のdermatomeとは異なる広がりをみせることも…

牛田享宏、末冨勝敏、下和弘、大須賀友晃、新井健一、池本竜則 慢性痛の痛覚情報認知機構 ペインクリニック 2009;30(7):905-913

慢性痛とそれに関与する脳活動部位 健常者 主として脊髄視床路を上行してきた痛覚のシグナルは視床を介してSI,SII,島皮質、前帯状回、前頭前野内側部などのpain matrixと呼ばれる痛みに関連する大脳皮質部位に投射 慢性痛患者 神経系の感作や可塑的変化でか…

牛田享宏 運動器疾患における慢性疼痛治療(interview) Nikkei Medical 2008 (12)

「とにかく痛みだけとってくれればいいんです」とは、日常診療でよくいわれることですが、慢性痛患者の場合、わたしは「無理です」とお答えします。 注目しているのは、運動器廃用と中枢神経の関係 ギプスで運動器を固定すると2週間前後で周囲の神経終末や…

p296 牛田享宏、大須賀友晃 整形外科の視点からみた集学的治療

慢性腰痛においては、いうまでもなく患者さんの生い立ちや社会生活環境、心理的要因などが大きく過重しており、単なる椎間板変性やその他の局所要因のみで説明を行うことは、治療においても誤った方向に進めていく結果になりかねない。 目指すもの 痛みの除…

p 206 池内昌彦、牛田享宏 変形性膝関節症の臨床最前線

変形性膝関節症における疼痛の発生源 関節軟骨と半月板の無血行野を除きほぼすべての組織に疼痛伝達に携わるAδやC線維および自由神経終末が分布する 多くのOA膝の疼痛源は5mlのブピバカインが浸潤しうるような関節内組織に限局している 膝OAの疼痛源として関…

牛田享宏 筋骨格系の痛み 医学のあゆみ 2004;211(5):430-435

皮膚の痛みは鋭く、局在がはっきりしているのに対して、筋などをふくめた深部感覚は鈍い痛みが多く、局在がはっきりしない 筋肉 求心性に伝達されるのは筋紡錘からの位置情報と痛み 炎症状態や訓練後、pHが低下 骨 骨、骨膜が痛みの起源 それ以外の起源もあ…

牛田 享宏 難治性疼痛を理解するための最新基礎知識 臨床編 医学のあゆみ 2007;223(9):794-797

失感情症 alexithymia 自己の感情の認知や表出が困難であるため、痛みなどに身体化されることで、感情表出困難のはけ口を求める心理的特徴をもつ。 その特徴として1自分の感情や葛藤状態を言語化できず、情動の体験と表現が制限されている。2想像力や空想…

牛田享宏、池本竜則、篠崎淳、田中茂樹、谷口慎一郎 運動器の痛みと脳の反応 臨整外 2007;42(6):511-517

最終的に脳で痛みを感じる fMRI 皮内痛群 両側の頭頂葉下部(BA40)を中心に、両側の補足運動野(SMA;BA6)、頭頂葉上部(BA5/7)、刺激反対側のSI,刺激同側のSII,後帯状回復域に優位な活動がみられた 筋痛群 主に刺激反対側の島領域後方において優位な活動がみら…

p93 牛田享宏 慢性疼痛の基礎的検証

整形外科領域における痛みの概念 元来原因となっている局所所見(神経圧迫、骨折、関節の変形などの器質的要因)の問題が小さくなったり、無くなっているにも関わらず痛みが続く状態 慢性神経因性疼痛(CRPS,脊髄損傷後の痛み)、廃用症候群,failed back syn…