- 筋が伸張を受けながら収縮する伸張性収縮が、遅発性筋痛を生じることが知られている
- 遅発性筋痛の発生機構 乳酸説、筋スパスム説、結合織損傷説、筋損傷説、炎症説、酵素流出説などの仮説が唱えられている
- 痛みのある時期に乳酸値は高くなく、これは遅発性の痛みを維持しているのではない
- 運動前にシクロオキシナーゼ阻害剤である消炎鎮痛薬を投与することにより遅発性筋痛はある程度抑制されるという報告が多いのに対し、運動後の消炎鎮痛剤の効果については否定的なものが多い
- 遅発性筋痛は何が原因でおこるか
- 運動中に生じるブラジキニンが、その後の痛覚過敏へと導く過程をトリガーしているのではないかと考えられた
- NGFを産生しているのは筋細胞
- 運動中に放出されるのはブラジキニンではなく、組織由来の低分子量キニノゲンからできるArg-ブラジキニン(ラットの場合、ヒトではカリジン)という物質である
- 筋の痛みは、主としてC線維受容器で伝えられる
- 新生児期にカプサイシンを大量投与して、C線維およびその細胞体を破壊した動物で調べたところ、遅発性筋痛がしょうじないという結果を得た
- 伸張性収縮負荷後に生じる機械痛覚過敏は、C線維受容器の機械刺激に対する反応性増大が大きな役割を担っていると考えられる
- NGFが筋局所で痛み受容器を感作していることがあきらかになった
- NGFは少なくとも末梢性に感作効果をもっていることがあきらかになった
- 遅発性筋痛において痛みを生じている組織は筋でなく筋膜である、と主張しているグループもある
- 伸張性収縮負荷を連日2週間繰り返したところ、運動をやめた日から2週間にわたる持続性の痛覚過敏がみられ、これも抗NGF作用のある薬物(K252a)により減弱した。また、筋に硬結を触知できた。このモデルでは筋損傷・再生像がみられた点が、一回だけの伸張性収縮とは異なった。この繰り返し伸張性収縮負荷モデルは、慢性的に痛覚過敏が生じる点、臨床的な筋・筋膜性疼痛症候群により近いモデルである可能性がある
- 筋・筋膜性疼痛症候群は索状硬結とその中にトリガーポイントがあり、圧迫することで遠隔部位に生じる放散痛を特徴とした症候群である
- トリガーポイントの実態は何か
- 広く流布されているのが、運動終板機能亢進―筋拘縮・エネルギー危機説(統合仮説)
- 川喜多 ポリモーダル受容器の感作とそれに伴う深部組織の浮腫(これが硬結になっている)の可能性を提唱している(ポリモーダル受容器感作説)