山田浩司、松平浩、有坂真由美、野間香、三好光太、小西裕昭 労災病院データベースを用いた腰椎椎間板ヘルニア手術例の実態調査 J Spine Res 2011;2:1082-1087
- 2006/4-2009/3 3年間に腰椎椎間板ヘルニアの手術症例を労災病院データベースを用いで後ろ向き研究
- 全 1926件 固定併用は 16.2%
- 男性 1471 女性 455
- 退院時平均年齢 40.9±10.89
- 平均在院日数 23.3±14.3 術後平均在院日数 15.5±10.9日
- 地域により平均在院日数、平均術後在院日数にばらつきあり
- 固定術の併用は特定の地域で有意に高い
- 考察
- 一般にアウトカムに基づき統一された専門的な見解がない限り、個人や小さな集団は特有のclinical ruleにしたがって手術患者を決定するとされる。そのため、それぞれの地域でそれぞれの術者が独自のルールを決める傾向にあり、特殊な治療が行われる確率が地域によってことなる。この減少をWeinsteinらやWennbergらは”Surgical signature” phenomenonと称し、ときに近隣の地域とも劇的に異なる治療法が選択されるとしている
- 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン 2006 固定術の併用は一定の見解がえられていない
- 本疾患に対して90%前後に脊椎固定術を併用していた施設が2つあり、全体の中でも突出しており、これらを除いた場合の固定術の併用は平均4.8%であった
- 一般に”Surgical signature”phenomenonの問題点として、1実際行われている手術件数は、患者が望んでいる件数より多い可能性があること、2医療費の高い地域ではQOLや生存率が改善しているという根拠はないこと、などが挙げられる
- われわれは患者が希望している以上に手術を提供しようとしている可能性は否定できず、研究が進み疫学的根拠が示されれば、患者自身の情報収集能力と判断能力も向上しており自ずと治療傾向に反映されてくると考えられる
- 脊椎固定術でしばしばinstrumentが使用される。手術で使用される特定保険医療材料は一般に非常に効果であり、患者のQOLや生命予後改善を目的とした費用対効果に優れない場合、その使用は可能な限り抑える必要がある