丸田俊彦

丸田俊彦 疼痛性障害への精神分析アプローチ 精神科治療学 2009;24(10):200-201

伝統的精神分析理論の前提 慢性疼痛の患者には、”見捨てられる”、”置き去りにされる”という依存体験からくる怒りと攻撃性、そして、そうしたネガティブな気持ちを持つことに対する罪悪感がある 慢性疼痛は、そうした怒りと攻撃性に対する処罰、すなわち罪の…

 丸田俊彦 心と身体のインターフェース 慢性疼痛とコンテクスト Practice of Pain Management 2014;5(2):100-104

慢性疼痛と間主観的理解 痛み知覚をどう体験し、その体験をどう表現するかは、周囲の環境との相互作用によって決まる ソーシャル・リファレンシング(社交的参照)は、そうした主観的体験が社会的・社交的な表出へと変形する一例である 痛み行動の意味は、そ…

丸田俊彦 慢性疼痛患者へのアプローチ:"pain behavior"をめぐって 日本運動器疼痛学会誌 2013;5(1):3-6

強いて言えば、「いかにあがこうとも、器質性と心因性の区別は出来ない」というのが答えである 普段は結構聞く耳を持つ人でも、いったん白衣を着ると、何か「客観性」をまとった様な錯覚に陥り、自分の見方・意見が正しい様な錯覚に陥り易い。また、患者は、…

丸田俊彦 「痛み」の心理的側面 ー特にpain behaviorについて 精神医学 1976;18(10):1059-1064

痛みとは何か 第一に「痛いという知覚」 知覚としての痛みは、完全に、永久に個人的な体験であって、他人の痛みを推測することはできても、感じることはできない。患者の訴え、そして一挙一動から、臨床の診断を下すことは多々あり、あたかも患者の訴える痛…

丸田俊彦  慢性の腰痛は精神科疾患か 医学のあゆみ 1988;147(14):1174-1176

痛みは大きく2つの要素に分けることができる 主観的な知覚としての痛み 完全に、永久に個人的な体験 客観的に観察可能な”反応”としての痛み 1 頻脈、散瞳、発汗といった反射的・生理的は反応 警告刺激としての痛みに対する生態の防御反応 主として急性痛 2 …

丸田俊彦 疼痛性障害 p175-184吉松和也編 臨床精神医学講座6 身体表現性障害・心身症 中山書店 1999

「痛みの訴えの程度が器質的所見を上回る」いわゆる慢性疼痛の診断の変遷 DSM-I 1952 DSM-II 1968 心理生理学的障害 psychophysiologic disorder 「情緒的要因によって起こった身体症状」と定義 痛みの原因を文字通り「心因性」に求めた 精神力動的な精神療…

丸田俊彦  慢性疼痛患者への精神療法的アプローチ : Mayo clinicでの経験から アディクションと家族 2010;27(2):91-93

筆者 Maya clinicのpain management centerの開設にレジデントとして参加、センター長10年 「医療はその一部、科学であり、その一部、神話・伝説である」と言われる 70年代精神科レジデントをしていた。今でも筆者の臨床的感性を支えている所見が2つあ…

丸田俊彦 慢性疼痛への精神療法的アプローチ 心身医 49(89):903-908

精神科医が扱う慢性疼痛患者のほとんどは、medically unexplained chronic painであるだけでなく、厳密には、medically and psychiatrically unexplained painであり、精神科的に説明できた疾患とかんがえるべきではない。 痛みを巡って人が起こす随意運動、…

 丸田俊彦 慢性疼痛患者に対する精神療法的アプローチ 臨床精神医学 2008;37(1):21-27

原因の特定できない慢性疼痛の患者で、医療従事者が扱えるのは痛み行動だけである by Fordyce 一つは診察場所による患者の診断名の違いであり、2つ目は、身体的リハビリの重要性である 患者の訴えが身体的なものである限り、いかに心理的な要素が疑われよう…

痛みの心理学―疾患中心から患者中心へ (中公新書)作者: 丸田俊彦出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1989/08メディア: 新書購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る中公新書 935 痛みの心理学 丸田俊彦著をアマゾンのマーケットプレイス…

本田哲三、丸田俊彦 慢性疼痛の治療 精神科治療学 2000;15(3):289-296

Fordyce WE 疼痛の体験をめぐる随意行動を疼痛行動とよび、慢性疼痛患者での治療の対象となるのは疼痛行動であると考えた。 目標 痛いから何もできないという患者の否定的な認知思い込みを、痛いけどやるべきことはやれるし、生活も楽しめるといった建設的態…

丸田医師の古い論文が手に入ったので追加

丸田俊彦 痛みと心身医学 心身医 1992;32(2):98-103 医療技術の急激な進歩と医療の極端な専門家の中で、医療従事者全体が心理的な問題に対して、時間を割く余裕を失い、その結果、身体疾患と心の問題の分離がさらに進みつつある 疾患局所に科学的な治療を施…

慢性疼痛

慢性疼痛は従来精神科、心療内科で取り扱われている。外国ではpain management centerで集学的治療が行われている。丸田俊彦医師は慶応卒でMayo clinicのpain manegement centerの創設時にレジデントとして参画。現在 埼玉県立精神医療センター院長。下記が…