2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

住谷昌彦、山田芳嗣 神経障害性疼痛の治療 麻酔科学レクチャー  2010;2(4):741-749

神経障害性疼痛の定義 体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛 pain arising as a direct consequence of a lesion or disease affecting the somatosensory system 神経障害性疼痛の治療目標 神経障害性疼痛では、神経障害を核と…

痛みに関する心理テストとその意義

福井弥己郎 痛みに関する心理テストとその意義 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):621-626 慢性疼痛の評価のうちで、もう一つ重要なことは患者の活動レベルの評価です。VASだけで患者の評価を行うと、医師が患者に操作されるということにつながり、患者の痛み行…

心因性疼痛の診断と治療

久保千春 心因性疼痛の診断と治療 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):606-612 国際的に最も重要な慢性疼痛の治療法となっているのが、認知行動療法です。これは、痛みが単に潜在する組織病変のみでなく、認知、感情、行動といったものによって影響を受ける複合し…

慢性疼痛治療のポイントと今後の展望 座談会

慢性疼痛治療のポイントと今後の展望 座談会 Bone Joint Nerve 2012;2(2):339-355 牛田 厚生労働省研究班の慢性痛の調査 運動器の慢性疼痛15%、慢性疼痛は高齢者に多いと考えてきたが、今回の調査では若い世代が多くて、労働者でなく、事務職などの専門職に…

CRPSに対する生体内再生療法

稲田有史、中村達雄 CRPSに対する生体内再生療法 Bone Joint Nerve 2012;2(2):333-338 CRPS 1. 直接神経障害 2. 深部組織障害(特に筋膜炎) 3. 末梢総和障害 1,2を含むによる局所所見を報告、その末梢病変を退治させることによって、異痛症、拘縮、振戦など…

変形性膝関節症の疼痛発生機序

池内昌彦 変形性膝関節症の疼痛発生機序 Bone Joint Nerve 2012;2(2):317-323 本邦 レ線で変形性膝関節症と診断されるものが2530万人、うち症状を有するものが780万人 診断が関節構成体の病理学的変化をもとに行われるのに対して、治療は関節の病理と直接的…

河田浩、細井昌子 慢性疼痛と心のケア Bone Joint Nerve 2012;2(2):309-315

まずは患者―医師間の信頼関係が最も重要である。そのうえで、患者に寄り添い、できうる範囲でゆっくり傾聴する態度が必要であろう 実際に痛みを感じているのに、それに見合うだけの器質的な疾患をみとめないために病気と認められず、心理的な辛さが表出でき…

河田浩、細井昌子 慢性疼痛と心のケア Bone Joint Nerve 2012;2(2):309-315

医学的な観点の痛み、文学的・言語的観点での痛み 遷延化した慢性疼痛症例の診療にあたり、患者が体の痛みを通じて訴えている内容について時間をかけて詳細に分析していくと、病院において時間をかけて詳細に分析していくと、病院において患者と呼ばれている…

慢性疼痛に対する理学療法

村上孝徳 慢性疼痛に対する理学療法 Bone Joint Nerve 2012;2(2):301-307 慢性疼痛の定義 国際疼痛学会 2007 治療に要すると期待される時間的枠組みを超えて持続する痛みあるいは進行性の非癌性疾患による痛み 理学療法は本質的な鎮痛効果を期待するものでは…

非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性 前帯状回

山下哲、成田年 非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性 前帯状回 Bone Joint Nerve 2012;2(2):253-258 脊髄視床路 外側 疼痛閾値そのものに関与 内側 痛みの不快な感覚の誘発に関係 前帯状回は、扁桃体と密接な双方向の線維連絡があることから、情動お…

非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性

高橋由香里、加藤房夫 非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性 Bone Joint Nerve 2012;2(2):249-252 痛みの経路 第一 外側経路 痛みの感覚・弁別的要素 第二 内側経路 痛みの情動的要素 第三 腕傍核のシナプスだけを介して直接的に侵害受容情報を扁桃体…

下行性制御機構を標的とした薬物

田辺光男、高須景子、大内壮一郎、小野秀樹 下行性制御機構を標的とした薬物 Bone Joint Nerve 2012;2(2):239-247 ガバペンチン、プレガバリンは脳組織中の電位依存性Ca2+チャンネルα2δ-1サブユニットへ特異的に結合するため、末梢から脊髄後角へと痛みを伝…

下行性制御機構:ノルアドレナリン

古江秀昌、加藤剛、馬場洋 下行性制御機構:ノルアドレナリン Bone Joint Nerve 2012;2(2):231-237 最終的には脳幹に存在する青斑核(ノルアドレナリン)や縫線核(セロトニン)から下行する線維によって、痛みの中枢への入り口である脊髄後角において、末梢…

下行性疼痛制御機構におけるセロトニンの役割

井辺弘樹、仙波恵美子 下行性疼痛制御機構におけるセロトニンの役割 Bone Joint Nerve 2012;2(2):223-229 PAG(中脳中心灰白質)から脊髄への直接の投射はほとんどなく、RVM(rostal ventromedial medulla; 吻側延髄腹内側部),DLPT(dorsolateral pontomesenceph…

脊髄メカニズム

谷口亘、吉田宗人、中塚映政 脊髄メカニズム Bone Joint Nerve 2012;2(2):217-222 C線維 後角 第I,II層のニューロンに入力 視床を経て大脳皮質の感覚野 痛みの弁別 Aδ線維 第I,II層だけでなくV層にも入力 視床を経て大脳皮質の感覚野、視床下部や脳幹にも入…

慢性疼痛の形成機序に関する最新の研究動向

池田亮、加藤総夫 慢性疼痛の形成機序に関する最新の研究動向 Bone Joint Nerve 2012;2(2):209-215 扁桃体は、脳内情動処理機構の中心的役割を担うだけでなく、「痛み」入力そのものが視床・皮質を介さず直接伝達される核として重要である 記憶や学習はこの…

丸田俊彦 「痛み」の心理的側面 ー特にpain behaviorについて 精神医学 1976;18(10):1059-1064

痛みとは何か 第一に「痛いという知覚」 知覚としての痛みは、完全に、永久に個人的な体験であって、他人の痛みを推測することはできても、感じることはできない。患者の訴え、そして一挙一動から、臨床の診断を下すことは多々あり、あたかも患者の訴える痛…

牛田享宏 我が国における運動器慢性疼痛の診療体制 Locomotive pain frontier 2012;1(1):24-27

急性痛 痛みには必ず生物医学的な原因があり、その原因を物理的治療法で取り除けば、痛みは寛解し、患者の機能障害は減少する」という生物医学モデル(biomedical model)と呼ばれる考え方に基づいている 長引く運動器の痛みにおいては、罹患部位の器質的異常…

運動器慢性疼痛の診療 現状をめぐる問題

座談会 運動器慢性疼痛の診療 現状をめぐる問題 Locomotive pain frontier 2012(1):5-13 山口 William Osler先生が述べている、「患者がどのような病気をもっているか知ることより、どのようか患者が病気をもっているかを知ることが最も重要」 西田 痛みに対…