痛みに関する心理テストとその意義

福井弥己郎 痛みに関する心理テストとその意義 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):621-626

  • 慢性疼痛の評価のうちで、もう一つ重要なことは患者の活動レベルの評価です。VASだけで患者の評価を行うと、医師が患者に操作されるということにつながり、患者の痛み行動を強化し、慢性疼痛の重症化に加担することになることがしばしばあります。特に転換性障害の患者は気をつける必要があります。
  • HAD尺度、PDAS(疼痛生活障害評価尺度)が、慢性疼痛の治療法を選択していく上で優れています。


山本隆光、深谷親、片山容一 神経刺激法の基礎と臨床 麻酔科学レクチャー 2010;2(4):683-690

  • 神経障害性疼痛に対してはオピオイドや神経ブロックの効果が不十分であることが多いので、神経刺激療法が多く用いられています。
  • 脊髄刺激、視床知覚中継核刺激、大脳皮質運動野刺激が一般的に用いられています。
  • 脊髄刺激の除痛機序
    • 脊髄後角刺激によって、脊髄後角から脊髄後索を上行するaxonが逆行性に刺激される
    • 脊髄後角から放出されるGABAが増加し、興奮性アミノ酸が減少する
    • 痛みの下行性抑制系のトランスミッターとして重要なノルアドレナリンセロトニンを放出する
  • 視床知覚中継核刺激の除痛機序
    • 視床Vc核の長期刺激は四肢の切断によって出現した神経の再構築を変化させる作用を有する
  • 大脳皮質運動野刺激の除痛機序
    • 大脳皮質運動野刺激によって障害側視床の血流低下が改善
    • anterior cingulate gyrusやorbit-frontal cortexの血流が増加、中脳中心灰白質からの下行性痛み抑制系の関与