2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年の5冊

#1 誰がアパレルを殺すのか作者:杉原 淳一,染原 睦美出版社/メーカー: 日経BP発売日: 2017/05/25メディア: 単行本 アパレル 大量の売れ残りを前提に価格を設定しムダな商品を作りすぎている 需要に関係なく、単価を下げるためにだけに大量生産し、売り場に商…

「難しい患者」とは

吾妻壮「難しい患者」とは Hopitalist 2016;4(4):788-790 精神力動的に、人間としての難しさは、精神内界的な難しさと対人関係的な難しさにわけて考えることができる 精神内界的な難しさ 心の働きの大きな偏りのこと 対人関係的な難しさ 人間関係の難しさ パ…

詳細に生育歴を聴くことが顔面痛の軽減のきっかけとなった一例

芦沢健、本間真理、池田望 詳細に生育歴を聴くことが顔面痛の軽減のきっかけとなった一例 慢性疼痛 2003;22(1):81-84 6年前生まれて初めて沢山話を聞いてもらった。自分自身を見つめ直すきっかけとなったとのことであった 患者は父親にも夫にも暴力をふるわ…

リンク集 ポスター

自分への備忘録として、公開されているポスターのリンクを記録する 今後逐次追加予定 同様の情報は、Web啓発ポスター資料館、Web啓発ポスター資料館2にあり 残念ながら2019/4/11時点でアクセス不可となった 2019/11/8 別ドメインで再開を確認 感謝 webarchiv…

高齢者の心因

木村宏之 高齢者の心因 老年精神医学雑誌 2016;27(10):1037-1045 1952 軍部の主導でDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-I)が出版された。当時アメリカで全盛だった力動精神医学の考え方が取り入られた 1968 DSM-II 神経症は引き続…

自閉症スペクトラム症におけるトラウマ・ストレス・痛みと自己感

綾屋紗月 自閉症スペクトラム症におけるトラウマ・ストレス・痛みと自己感 トラウマティック・ストレス 2015;13(1):23-33 ストレスやトラウマとは、予期に対する脅威として定義できる 痛みは2つの自己感-(内蔵制御信号ー内臓感覚ー運動制御信号ー自己受容感…

痛みの不快感を緩和させるアプローチ

平林万紀彦 痛みの不快感を緩和させるアプローチ Spinal Surgery 2016;30(3):293-295 痛みは、知覚的、感情的、また認知的に脳で統合され、それらは相互に作用し、われわれは痛みを常に内的に体験する。 慢性痛に苦悩する患者は、痛み知覚の増強だけでなく、…

「痛い!」対談

熊谷晋一郎、信田さよ子 「痛い!」対談 精神看護 2011;14(2): 73-80 そろっていえるのは、安全な場所に移動してから痛むっていうこと 無理をするなとか、もう少し様子をみましょうって、すごい言葉ですよね。よく医者はいうんですけど、こんな地獄の言葉な…

慢性痛の当事者研究

岡本さゆり 慢性痛の当事者研究 Locomotive Pain Frontier 2017;6(2):86-69 当事者研究における外在化の手法は慢性痛を軽減させる一つの手立てとなる可能性があり、応用性が高いと考えられる 慢性痛の当事者研究は自らの身体の変容を含めた自己の再組織化で…

プラセボ反応とノセボ反応の話

粳間剛 プラセボ反応とノセボ反応の話 地域リハ 2017;12(11):952-959 腰椎圧迫骨折の患者さん対象に、針を刺してセメント注入群と、針だけを刺す群で治療結果に差がなかった Kallmed DF et a: A randomized trial of vertebroplasty for osteoprorotic spina…

臨床医のための痛みのメカニズム

臨床医のための痛みのメカニズム作者: 横田敏勝出版社/メーカー: 南江堂発売日: 1997/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 絶版。 一時高騰(2017/8ころ3万円)していたが、値段がこなれてきた(2000円台)ので、歴史的な資料として購入 初版 199…

日本は慢性痛にどう挑戦していくのか

日本は慢性疼痛にどう挑戦していくのか作者: 一般社団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団出版社/メーカー: 薬事日報社発売日: 2017/11/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る

CRPSの深部組織の痛みのメカニズム

住谷昌彦、大住倫弘 CRPSの深部組織の痛みのメカニズム PAIN RESEARCH 2017;32:8-12 CRPSの病態については、四肢末梢(末梢神経系と脊髄および筋骨格系)の異常説と脊髄上位中枢神経系(特に脳)の異常説の2者に大別される 四肢末梢説 神経障害性疼痛 特徴…

難治性疼痛に対する神経リハビリテーション治療

穂積淳、大住倫弘、緒方徹、住谷昌彦 難治性疼痛に対する神経リハビリテーション治療 麻酔 2015;64:734-740 四肢切断後の幻肢痛患者を対象とした脳機能画像研究からは、大脳/脊髄上位中枢レベルでの機能再構築(reorganization)が神経障害性疼痛の発症基盤と…

痛みの感覚要素の大脳認知メカニズム

井上玲央、住谷昌彦、穂積淳、緒方徹、熊谷晋一郎、山田芳嗣 痛みの感覚要素の大脳認知メカニズム 麻酔 2014;63増刊:S44-S49 鏡療法 皮膚表面(ナイフで刺されているような、電気ショックのような)で感じているような痛みには無効、深部感覚(関節で捻られて…

幻肢痛の発症における大脳運動野の関与

住谷昌彦、宮内哲、植松弘進、四津有人、大竹祐子、山田芳嗣 幻肢痛の発症における大脳運動野の関与 麻酔 2010;59(11):1364-1369 幻肢痛の痛み 皮膚表在感覚に関連した疼痛 刃物で裂かれるような、電気が走るような、しみるような 運動感覚(自己受容感覚)…

身体知覚と運動学習 

森岡周 身体知覚と運動学習 四国理学療法士会学会誌 2011;(33): 5-8 身体帰属感 (sense of self-ownership)は、視覚と体性感覚が時間的・空間的に一致する(整合性)ことで生まれるが、逆に一致しないとそれを喪失してしまう 責任領域 頭頂葉と運動前野 体性…

悲しみと痛みと認知の中枢

仁井田りち、三村將 悲しみと痛みと認知の中枢 BRAIN and NERVE 2017;69(4):417-426 後部帯状回(23野)はデフォルトモードネットワーク(DMN)のハブであり、アルツハイマー病において早期に解剖学的結合が低下する部位である 前部帯状回(24野)はDMN,ワーキン…

ペインリハビリテーションの方向性  臨床と神経科学の融合

森岡周 ペインリハビリテーションの方向性 臨床と神経科学の融合 物理療法科学 2014:21:1-8 疼痛の3つの側面 感覚的側面 体性感覚野 情動的側面 扁桃体、島皮質、前帯状回 認知的側面 後頭頂葉(身体イメージ) 不動や運動抑制に基づいた痛みの慢性化プロセス…

ニューロリハビリテーション

大住倫弘、森岡周 ニューロリハビリテーション 2016;204;40-44 末梢神経に損傷が生じるとS1,M1,補足運動野の活動が徐々に変容。これらの脳領域は感覚運動ループを構成する重要な脳領域 ひとたび患肢を使用しないことの学習(学習性不使用 learned non-use)…

複合性局所疼痛症候群の身体イメージの変容とリハビリテーション

身体イメージ 「自己の全身について、ヒトが形成する心的な画像」 アメリカ心理会 CRP患者が主観的に感じる「身体の大きさや形態の歪み」と痛みの関連性に関する議論が盛んに行われている 過去の臨床研究においてCRPS患者は主観的な手の大きさを実際の手より…

神経科学に基づいた慢性痛に対するリハビリテーション戦略

森山周、信迫悟志、大住倫弘 神経科学に基づいた慢性痛に対するリハビリテーション戦略 Pain Rehabilitation 2015;5(1):3-10 痛みの側面 急性痛、慢性痛 感覚的側面、情動的側面、認知的側面 慢性痛の神経プロセス 損傷ー疼痛ー運動抑制ー疼痛防御行動ー学習…

痛みから捉える情動記憶の神経回路基盤

渡部文子 痛みから捉える情動記憶の神経回路基盤 生体の科学 2016;67(1):51-55 情動には外界から入ってきたシグナルの”価値”に応じて、自らの行動を強力に駆動する力がある ダーウィンの情動の定義 非常事態にさらされた生物が、適切に対処し、生存の可能性…

薬物で解決できない慢性疼痛

笠原諭、國井泰人、丹羽真一 薬物で解決できない慢性疼痛 精神科からの提言 臨整外 2017;52(1):76-79 筆者の慢性疼痛外来で合併するパーソナリティ障害 強迫性(39%)、依存性(22%)、演技性(14%) C群の強迫性パーソナリティや依存性パーソナリティは、わが国で…

検査で痛みがなければ痛みは精神的なモノ?

粳間剛 検査で痛みがなければ痛みは精神的なモノ? 地域リハ 2017;12(10):864-871 「検査で異常がないから問題ないです」って言う医療者は、動かしてもいないのに部品だけ見て問題ないといい、何もしてくれない修理屋さんと同じじゃないのかな うつなどの精…

疼痛と精神科

西松能子 疼痛と精神科 麻酔 2003;52増刊:S83-S93 通常どこにでもあるような、ささいな社会的不適応と漠然とした不安、心理的不調に加えて、ただ患者の”痛い”という訴えのみが存在する。特に社会的に、”心の痛み”が受け入れられにくく、“体の痛み”は受け入れ…

身体症状症と中枢性過敏症候群(あるいは線維筋痛症)

戸田克広 身体症状症と中枢性過敏症候群(あるいは線維筋痛症) 精神科治療学 2017;32(8):1087-1090 身体症状症では医学的に説明不能の身体症状(身体症状症)であるか否かを問われなくなり、身体症状、またはそれに伴う健康への懸念に関連した過度な思考、感…

身体症状症の認知行動療法

吉野敦雄、岡本泰昌、神人蘭、森麻子、高垣耕企、堀越勝、山脇成人 身体症状症の認知行動療法 精神科治療学 32(8):1083-1079 身体症状症は、「苦痛に感じる身体症状」と「それらな症状に対する過度な思考や感情や行動」と主な主徴とする疾患である つまり器…

身体症状症、疼痛が主症状のもの(従来の疼痛性障害)

西原真理 身体症状症、疼痛が主症状のもの(従来の疼痛性障害) 精神科治療学 2017;32(8):1009-1013 DSM-5から身体症状症(疼痛が主のもの)が新しく登場したが、これまでの概念から大幅に変更されたものといえる。改善点は特に医学的に説明できないという点…

身体症状症

宮地英雄 身体症状症 精神科治療学 2017;32(8):1003-1007 身体症状症は、DSM-5から登場した用語で、身体化障害の後継とされるが、身体障害の身体基準では身体症状が厳しく規定されるのに対し、身体症状症では身体症状に対する思考、不安、行動を基準の核にし…