水村和枝 痛みの基礎研究に携わって 日本運動器疼痛学会誌 2012;4(1):3-5

  • 遅発性筋痛 ミステリアスに運動から痛覚過敏まで一日程度の潜時がある。このミステリーをなんとか解けないかと思った
  • 遅発性筋痛
    • COX-1阻害剤は無効。
    • COX-2阻害剤は運動前に投与すれば遅発性筋痛発生そのものを抑制した。しかし、痛くなってから投与したのでは無効
    • B2ブラジキン拮抗薬のHOE140を運動負荷前に投与したところ、遅発性筋痛の発生を完璧に押さえた。運動後30分後や2日後に投与したのでは無効
    • つまり運動中に筋から遊離されるブラジキニンがその後の過程を引き起こすトリガーになっている
    • ブラジキニンはトリガーではあっても、筋細径線維受容器を感作して痛覚過敏を起こしているのではない。ではなにが痛覚過敏をおこしているのか。NGFに注目した
    • ブラジキニン→B2受容体→NGF→痛覚過敏という経路が支持された
  • Chance favors the prepared mind. (Louis Pasteur) (チャンスは備えあるところに訪れる)
  • 基礎研究の喜びは、形態学であれば、形態の美しさにひかれるかもしれない。単一神経記録で侵害受容器の活動を調べていた頃は、C線維のきれいな波形の記録ができて、その反応パターンを音で聞くのが喜びであった。