金岡恒治 急性腰痛の保存療法 Monthly book orthopedics 2012;25(7):35-38
- 骨折、腫瘍、感染などいわゆるred flagと呼ばれるような病的要因以外の腰痛性疾患の疼痛源としては、(1)変性し神経組織の侵入した椎間板線維輪、(2)滑膜関節であり侵害受容器の豊富な椎間関節、(3)損傷した筋・筋膜、(4)詳細な病態は明らかにされていないが、臨床的に腰痛の関与が疑われる仙腸関節などがある
- 画像診断は進歩してきており、今後は炎症の可視化技術の開発も期待されるが、現時点では急性腰痛の病態を描出することはできない。また脊椎の変性性変化は不可逆的な変化であり、現在の画像所見が現在の病態を表しているのか、過去の遺残だけであるかは判別できない。
- X線所見にて”椎間板高狭小”やMRIにて椎間板の変性所見を認めたとしてもその椎間板が疼痛源であるとは限らず、椎間板狭小によって当該椎間の椎間関節への荷重分担が増加した結果、椎間関節障害を生じていることも多い
- 治療
- 予後は悪くないことを説明し、症状安静の必要はなく、なるべく活動的な生活を継続する。必要に応じて消炎鎮痛剤、筋弛緩剤や場合によってはオピオイドを使用する。もしこれで改善しなければ一ヶ月以内であれば、脊椎マニュピレーションや、なんらかの運動を行うように薦める
- 急性腰痛の予防
- 予測的姿勢制御 姿勢を保持しながら、四肢の運動を行う際には、重心が支持基底面内にあるように姿勢を調節する働き
- 腰痛者はこのような予測姿勢制御機能が低下していることも報告されている
- 急性腰痛を予防する対策として、体幹深部筋が適切に機能し予測的姿勢制御を行うことができるような訓練が望まれる