頭痛

小田原幸、佐谷健一郎、坪井康次 頭痛 臨牀と研究 2012;89(2):156-161

  • 心身医学的治療の2つの側面
    • 発症及び症状の持続に心理社会的因子が関与している可能性が考えられるため、この部分への介入を行うことにより、症状の発症・持続因子を除去し、症状を顕現させるという側面
    • 痛みに対する対処法の習得により痛みによって引き起こされている社会生活への悪影響の軽減を図ること
  • 専門的な心身医学的治療
  • 認知行動療法
    • 頭痛の患者の中には、繰り返し出現する痛みを体験するうちに、「何をやってもよくならない」「痛みは恐ろしいものだ」という考えに至ることも多い。こういった痛みを否定的に捉える傾向が生活の質を下げることも知られている。近年では、この痛みの否定的な捉え方に焦点をあてた認知行動療法が注目されている
    • 認知行動療法とは、人間の気分や行動などが認知(ものの考え方や受け取り方)のあり方によって大きく影響をうけるという理解に基づき、認知のあり方に働きかけることによって気分を変化させ、問題に対処する力を高めることを目的とした構造化された短期の精神療法である
    • 認知行動療法では、既述のように外部の出来事はその人の認知を通して評価が行われ、その結果が、気分、行動、身体に影響を及ぼすという理論に基づいており、その認知過程の歪みは、自動指向(automatic thought)と、仮定(assumption)、もしくはスキーマ(schema)の二つのレベルに分けて考える。思考ー感情ー行動の悪循環を断ち切るためには認知仮定の修正が必要になるが、その際には、認知再構成法を用いて次のような順番で、柔軟で適応的な考えがもてるようにしていく
      • 根拠を探す(そう考える根拠はどこにあるか)
      • 反証を考える
      • 代わりの考えを探す(適応的思考を考える)