2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

松原貴子 慢性痛について 慢性痛の病態とマネジメントの実際 理学療法探求 2007;10:1-6

実質的な組織損傷に基づいて起こる痛みは急性痛であり、正常な生体反応として必要不可欠な感覚である。一方、あきらかな損傷のない(または損傷が治癒している)場合の痛みは症状というよりむしろ新たに発生した病気、すなわち慢性痛症として捉えるべきもの…

松原貴子 痛みのリハビリテーション 痛み治療最前線 理学療法兵庫 2006;12:10-16

国際疼痛学会の痛みの定義 組織の実質的なあるいは潜在的障害に基づいて起こる不快な感覚性情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある この定義によりキズがないのに痛い、つまり警告信号としての…

松原貴子 新たな痛みの概念 痛み治療の転換点 理学療法兵庫 2005;11:14-17

痛み系は警告信号ー防御系として原器、生命を維持するために必要不可欠な機能と言える。したがって痛み機能が正常に機能している時の痛みは、必要善であるといえる。逆に、痛み系に異常を呈した結果生じる痛みは、もはや警告信号としての役割を果たさないも…

細井昌子 p127 こころとからだ、その治療の実践

脊髄視床路は痛みの感覚成分および情動成分を末梢から中枢へと伝える。逆に、中枢から脊髄後角に痛みを調節する経路である下行性の痛覚調整系が存在し、痛みは抑制あるいは増強されている。痛みの経路は複雑であり、身体医学は、痛覚経路の一部分を対象とし…

松原貴子 p109 動いてよいのかわるいのか?筋と痛み  (注:1月から読んできた文献のなかで、最も感銘をうけた文献のひとつにあげられる by ucymtr)

患者自身が動き、考え、自身の痛みに関する認識や痛み行動を変革していくことが必要である。依存は痛みの治療を難しくしてしまう。医療者に抱く患者の依存を打破することが痛み治療の第一歩といえる キズが治れば痛みも消えるという神話に捉われることなく、…

痛みのケア 3

牛田享宏、池内昌彦、芽原泰子 p92 痛みの訴えが最も多い整形外科では 運動器の痛みであっても最終的には脳が痛みを経験、記憶している。痛みに対する耐痛域には個人差があり、精神的、社会的な要因などで、それらが複雑にからみあって痛みとして表現される…

痛みのケア 2

沖藤 晶子 p59 痛みの心理的なアセスメントとその治療 痛みは複雑なプロセスを経た不快な感覚性情動性の体験であり、心理的な要素無しに理解することは不可能である 臨床心理では精神障害も含めたあらゆる機能障害を心理的観点から観て、心理メカニズムに基…

p45 柴田政彦 痛みのアセスメント

痛みの客観的測定法の確立 著者は否と考える 痛みとは、個人のある種の脳活動を痛みという言葉を介して他人に伝達する際に使われる仮想的な概念 痛みのアセスメントには侵害刺激、痛み、痛み行動を理解することが必要 痛みの原因が単純な場合、痛み=痛み行…

p38- 山口佳子、熊澤孝朗 慢性の痛みをもつ患者さんがこられたら

急性痛 できるだけ速やかな除痛が望まれる 慢性痛症 特に日本においては、この慢性痛症という病気への理解が不足しているために、痛みがあるなら損傷部位があるはずであるという考えが患者だけでなく医療者側にも未だ横行している 薄紙をはがすように一つ一…

痛みのケア―慢性痛、がん性疼痛へのアプローチ作者: 熊澤孝朗出版社/メーカー: 照林社発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る

鈴木重行 運動器の痛みのアセスメント MB Med Reha 2007;79:30-38

Boos 椎間板ヘルニアそのものが腰痛の原因となることはむしろ珍しく、症状を起こすためには神経根の圧迫が大きな要因 菊地 椎間板ヘルニアによる神経根へ機械的圧迫のみでは、単なる下肢に重苦しい感じを訴えるだけで、痛みを引き起こさないと結論付け、疼痛…

松原貴子 慢性痛のリハビリテーション MB Med Reha 2007;79:21-29

本邦 慢性痛にたいしても急性痛と同じように、痛みを合併症の一つとして組織損傷が存在するかのように追及し、通り一遍にこの対症的な治療がとりおこなわれてきた 慢性痛は神経系の可塑的変化によって生じることが示唆されている。したがっていまや疼痛部位…

細井昌子 痛みと心身医学 MB Med Reha 2007;79:13-20

慢性疼痛の治療 患者の苦痛、困難、苦悩をいかに多面的に理解し、患者の感情の安定化を図り活動性を上げていくかが慢性疼痛の治療の鍵 痛みは主観的な不快な感覚体験のみでなく、不快な情動体験であるという観点が重要であり、本人が痛みを表す言葉でその体…

柴田政彦 痛みとリハビリテーション MB Med Reha 2007;79:9-12

痛覚系は情動を含んだ系であるため、個人差や環境の影響を受けやすく、単一の方法では不十分であり、個々の症例に応じて効果を確認しながら対応方法を修正するというアプローチが必要となる 慢性疼痛に対する認知行動療法とは、教育とリハによって、痛みがあ…

MB Med Reha 2007;79 1

中塚映政 痛みの概念、急性痛と慢性痛 MB Med Reha 2007;79:1-7 症状としての痛みと病気としての痛みとの違いが明確になってきた 痛みは数値で客観的に評価できないこと、医療者を含めた他人には理解できないこと、我慢することを美徳とする考えなどによって…

臨床痛み学テキスト 7

第21章 がんの痛み 癌の痛みの原因 3つ 癌が進行し組織に浸潤して生じる痛み 75% 治療が原因で生じる痛み 20% がんやその治療とは別の理由で生じる痛み すべての痛みに言えることであるが、痛みを身体的な面だけでとらえるべきではない。癌患者にとって、身…

臨床痛み学テキスト 6

第15章 生活と管理 痛み患者に対しては、現実的な生活の目標を患者に選択させること、そして痛みがあってもうまく生活できるように促していくことに主眼を置き、これらの目標を達成するための方法を検討する 痛みとともに生きるためには、主に認知過程と行動…

臨床痛み学テキスト 5

第13章 運動と痛み 低強度の等尺性収縮運動は、関節の安定性に関与する筋群の再教育と強化を目的に実施される。たとえば腰痛患者では多裂筋を、膝蓋大腿関節痛患者では、内側広筋を、それらの周囲筋とは別に個別に訓練できれば関節の安定性の回復につながる…

臨床痛み学テキスト 4

第9章 心理学に基づいた痛みのマネジメント 痛み行動 痛みに対する口頭による反応 (うめき声をだす、ため息をつく) 言葉によらない痛み行動 (しかめ面をする、さする、足を引きずる、スプリントなどをする) 全体的な活動レベル (すわっている、横になる…

臨床痛み学テキスト 3

第8章 痛みの治療におけるすべての医療スタッフに通じる基本理念 患者は自分の痛みについて正しく理解していれば痛みとうまくつきあっていけるが、痛みへの理解が不十分だと痛みにうまく対処できないことが懸念される。 他にあきらかな原因がないから、心因…

臨床痛み学テキスト 2

第7章いたみのアセスメント 痛みの3つの成分(表現、反応、影響) 痛みの測定を包括的でありながら無駄のないものとするために、三つの面(言葉による痛みの表現、痛みに対する反応、痛みのよる影響)のそれぞれからひとつづつの測定ツールを選ぶことが賢…

ペイン:臨床痛み学テキスト作者: Jenny Strong,Anita M.Unruhほか,熊澤孝朗監訳出版社/メーカー: エンタプライズ発売日: 2007/12/07メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る第一章 痛み学への誘い 序論 痛みは情動…