中井吉英
中井吉英 「身」の心身医学 からだの声、こころの声を聴く 環境と健康 2011;24:40-48 身につまされる、身の振り方、身を立てる、身を尽くす、身にあまる、身から出た錆、身を入れる、身支度、身につく、身がもてぬ、身の程知らず、身を捨ててこそ、と言った…
慢性疼痛患者の神経症的傾向は、疼痛が長期におよんだために生じた心的特性を示しているものと考えられる 慢性疼痛に対する心理的アプローチ 学習理論に基づいた行動療法、認知療法、認知行動療法、家族療法、バイオフィードバック法 急性疼痛に対する理論や…
急性の痛み biomedical model,原因−結果といった線形モデルによる診断が可能 慢性の痛み bio-psycho-social-behavioral model 慢性疼痛患者の心理的要因は、痛みのために引き起こされた二次的要素が強いと考えられる 今後は慢性疼痛に陥らせないような予防的…
慢性疼痛は’total pain’としての様相を呈する。単に生物学的要因のみならず、心理的要因、社会的・環境的要因、行動的要因、患者によってはスピリチュアルな要因が関係し合いながら病態を形成する。とくに、行動的要因は慢性疼痛の診断や治療に際しては重要…
治療の目標を疼痛の改善よりも、痛みがあっても変化した事象(QOLや疼痛行動、認知)に焦点をあてることが肝要である 急性疼痛に対する診断や治療法では、慢性疼痛に治療は難しい。原因ー結果といったh直線的思考からシステム論的考え方に基づく円環的思考へ…
一般心理療法 支持support、受容acceptance、保証説得reassurance 医師の心因性、精神的、ストレス、異常がないといった言葉は、患者に怠けているなどのレッテルを貼ってしまう。その結果、多くの慢性疼痛患者が、医療スタッフだけでなく、家族や職場のサポ…
慢性疼痛の明確な診断基準はないが、一般的には 症状に見合うだけの明確な原因を指摘できない 原疾患に対する治療により通常期待される程度の効果を示さない 特定の病名で説明がつかない 1-6ヶ月程度以上続いている 心身症としての病態を考慮すべき慢性疼痛 …
患者 痛み=身体障害という強固な認知の枠組みがある 丸田 痛みには、その発生している状況の持つ意味が大きな影響を与えるものであり、その意味を決定するのが安全感である Loeserの疼痛モデル 疼痛感覚、苦痛、疼痛行動 Turner 痛みの認知と対処行動は身体…
複雑化していても疼痛行動の最も影響を及ぼし得るのは、必然的に関わることの多い家族や治療者であろう 問題の外在化 ゲートコントロールの模式図から、ゲートのtermをつかって問題の外在化をおこなう 何度検査しても患者の痛みの原因が特定できないために、…
主観的な疼痛という体験は身体的病因のみで語れるはずもなく、心理社会的要因の考慮もなされるようになってきた。慢性疼痛は後者の比重が増している病態といえ、個別な病因で割り切れるものではないために、心理療法という枠だけで疼痛を語ると全体的な病態…
過敏性腸症候群はかつては大腸神経症と呼ばれたこともあった。しかし現在は機能性腸症候群の代表的疾患として世界的に認知されている 疼痛に対する米国精神医学会の診断基準の変遷 DSM-III 心因性疼痛障害 psychogenic pain disorder 心理的要因が病因に関与…
心療内科で紹介の多い患者は、消火管機能異常、次が慢性疼痛 心療内科は内科であるが、身体と心を分けず全人的医療を実践する科である 心療内科では慢性疼痛を従来の自然科学的な医学医療モデル、つなわち原因→結果の一元的モデルで考えるには無理があり、痛…
心身医学では心因性という言葉を使用しない 慢性腰痛 有益とされるのは、自分で動く、動かすとそれをサポートする環境 医療面接 症状について何か心当たりはありますか 症状について何か心配されていることはありますか 症状に対して、何か希望される(また…
筆者は慢性疼痛を器質的原因の除外された痛みでなく、器質的要因、機能的要因、心理的要因の3要因が重複した痛みであると考えている 心理的要因 一次的要因 慢性疼痛に陥りやすいpersonality 神経症的性格の人が痛みに罹患すると2次的要因として神経症的な…
慢性疼痛は急性疼痛とは病態が大きく異なる。ニューロンの変性やイオンチャンネルやシナプスにおける様々な変化といった生理的な違いのみならず、生理心理環境の3つのシステムによる悪循環の連鎖が病態を形成する点が慢性疼痛の特徴の一つである。 慢性疼痛…
現代医学 biomedical model 原因ー結果という線形の因果関係 biopsychosocial model 心理面や社会面といった複数の因子が、双方的かつ円環的に作用し合うことによって現在の病態が形成、維持されているという考え、それらの関係性に注目していく、非線形モデ…
NTの問題の解消 対話を通して、個々の痛みの意味合いは変化し続け、患者の治療者が共同して問題の解消が目指される方向性を表現をしている 生物学的立場に立つ医療者は、痛みが問題であって、痛みを起こす心因や人間関係に病因(問題)をもとめる状態になっ…
痛みは多因子によって構成される症候群であり、そこに客観的診断で枠をはめようとするために歪みを生む Loeser 疼痛感覚 神経系による有害刺激の近く 苦痛 疼痛感覚から生じた陰性の情緒反応 疼痛行動 疼痛を表現するさまざまな行動 疼痛は多因子により影響…
慢性疼痛に関与する要因は、器質的、機能的、心理社会的、行動的である。これらの要因の関係性は個別性である。したがって疼痛のみに焦点をあてず、疼痛をもった患者に焦点をあてる医療、すなわち全人的医療と、各要因に関する専門家とのチーム医療および患…
文献1 慢性の疼痛を訴える患者を診察する際には、疼痛に対する治療だけでは不十分であることが多く、心理・社会的要因まで含めた病態の評価と治療介入が必要とある 高齢者の慢性疼痛の病態における特徴 老化の定義ー加齢による生殖能力の低下や死亡率増大を…