2010-01-01から1年間の記事一覧

谷川浩隆 身体診療科における心身医療 −歯科と運動器との共通点からの検討 歯界展望 2009;113:1136-1140

口腔や顔面の疼痛の症状は頚部痛や肩こりなどの整形外科で扱う運動器疼痛と類似している点が多い 精神科を受診する患者は身体症状の原因が心理的なものであるとみずから気づいているのに対し、整形外科を受診する患者は、たとえ心理的原因があってもそれを認…

痛みの脳科学

佐藤公道 痛みの脳科学 科学 2006;76:728-733 IASP 痛みの定義 1979 委員長 H.Merskey 組織の実質的あるいは潜在的な損傷に結びつくか、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験 原因となるような身体的(器質的)な変化が見当たら…

がんの痛みと麻薬性鎮痛剤

鈴木勉 がんの痛みと麻薬性鎮痛剤 科学 2006;76:723-727 モルヒネの精神依存は、中脳辺縁ドパミン神経系の起始核である腹側被蓋野に分布するμ受容体に結合すると、抑制性の介在ニューロンであるγアミノ酪酸(GABA)神経系を抑制して、中脳辺縁ドパミン神経系の…

中井吉英、阿部徹也 心療内科よりみた慢性疼痛と今後の課題 科学 2006;76:720-722

慢性疼痛は’total pain’としての様相を呈する。単に生物学的要因のみならず、心理的要因、社会的・環境的要因、行動的要因、患者によってはスピリチュアルな要因が関係し合いながら病態を形成する。とくに、行動的要因は慢性疼痛の診断や治療に際しては重要…

スポーツ医学の現場から

佐藤のり子 スポーツ医学の現場から 科学 2006;76:713-715 スポーツ障害におけるペインコントロールの意義は、急性期と慢性期では大きく異なる 急性期においては、選手に痛みを覚えさせないことが重要である。痛みを覚えたからだは臆病になる。選手らは運動…

痛みをめぐる社会状況と治療の進展

花岡一雄 痛みをめぐる社会状況と治療の進展 科学 2006;76:700-704 長期間に渡って患者が痛みを感じていると、ちょうど、聴覚や視覚のように、痛みも脳内に記憶されることになる。本来の疾患が治癒しても痛みの記憶だけが取り残されたために患者が苦しむこと…

 疼痛診断におけるfMRIの可能性 麻酔 2009;58:1350-1359

疼痛関連脳部位 pain matrix 弁別、情動、認知という痛みの3成分のいずれかを担う 視床、第一次、第二次感覚皮質、島皮質、前帯状回皮質、前頭皮質 fMRIの原理 fMRIは脳血流の絶対的変化をとらえるものではない。神経活動を高めた神経細胞の周囲には酸素飽…

経皮コルドトミーの経験 ー脊髄痛覚伝導路の不思議

長櫓巧 経皮コルドトミーの経験 ー脊髄痛覚伝導路の不思議 麻酔 2005;54:S44-S55 経皮的コルドトミー(percutaneus cervical cordotomy;PCC)は、脊髄の痛覚伝導路が位置している前側索を破壊して鎮痛を得る方法である。現在第1−2頚椎間で施行され、主にがん…

疼痛と精神科 3

西松能子 疼痛と精神科 麻酔 2003;52:S83-93 著者らの疼痛患者への治療的取り組み 身体的精査結果について、身体科の主治医を交えて患者に十分説明し、重大な疾患が存在しないことを説明する (症状の説明) 痛みの生じた状況と自分自身の反応(感情、考え、…

疼痛と精神科 2

西松能子 疼痛と精神科 麻酔 2003;52:S83-93 疼痛行動あるいは慢性疼痛に対する理論的説明 慢性の疼痛患者の臨床像について、実際の知覚としての疼痛と、疼痛をめぐる随意行動に分ける考え方がある Fordyce 疼痛をめぐる随意行動を“疼痛行動 pain behavior”…

疼痛と精神科 1

西松能子 疼痛と精神科 麻酔 2003;52:S83-93 原因不明の疼痛の訴えの3割から4割の症例は、身体的原因、心理的要因のいずれも特定されない しばしば精神科において、心因すなわち明らかな社会心理的適応不全や心理的要因を見いだせないような場合がある。通…

下行性抑制系と慢性疼痛

小幡英章 下行性抑制系と慢性疼痛 麻酔 2005;54:S173-S182 脳幹から脊髄後角に投射する抑制性の経路でよく知られているのは、ノルアドレナリン(NA)とセロトニン(5-HT)作動性下行性抑制系である NA作動性下降性ニューロン 起源 第四脳室外側部のlocus coeru…

急性腰痛と危険因子ガイド作者: ニュージーランド事故補償公団,長谷川淳史出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2010/04/13メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (1件) を見る原典はここ イエローフラッグとは、腰痛による長期障害や失業のリスク…

「ほどほど健康術」腰痛

日経の連載「ほどほど健康術」。岡田正彦教授による健康に関するさまざまなテーマについてエビデンスに基づいた文章。 9/12/2010のテーマは腰痛 最新の画像診断装置を使った研究によれば、腰痛があっても85%の人には異常がまったくみつからない。研究が進む…

痛みの病態生理第22,23回

瀬尾憲司 痛みの病態生理第22回 臨床痛の要因分析:三叉神経領域の病態生理 理学療法 2009;26(10):1252-1262 三叉神経 知覚 頭頚部または口腔・顔面領域の知覚、痛覚 第一枝 眼神経 第2枝 上顎神経 第3枝 下顎神経 運動 咀嚼筋運動 末梢における痛覚…

痛みの病態生理 第20,21回

下山直人、下山恵美 痛みの病態生理第20回 臨床痛の要因分析:がんの痛みの病態生理 理学療法 2009;26(8):1017-1024 熊谷幸治郎 痛みの病態生理第21回 臨床痛の要因分析:帯状疱疹後神経痛の病態生理 理学療法 2009;26(9):1143-1148 帯状疱疹は水疱…

強迫傾向のある慢性疼痛患者に対する治療戦略の検討

永岡三穂、村上典子、福永幹彦 強迫傾向のある慢性疼痛患者に対する治療戦略の検討 心身医 2010;50:155-158 慢性疼痛と関連が深いとされる痛みの認知様式として、catastrophizing,破局的思考が挙げられるが、強迫神経症の認知様式も同様に脅威の過大評価、一…

慢性疼痛とうつ病

佐藤武、郭偉、伊藤奈々 慢性疼痛とうつ病 総合臨床 2010;59(5):1268-1272 慢性疼痛によって失われるものは、人間関係、病気・手術・事故などによる身体喪失、身体機能の障害、身体的自己像の損傷などが含まれる。さらに、精神的に拠り所となるような自己を…

老年期の心気・不安

妹尾春夫、堀口淳 老年期の心気・不安 老年精神医学雑誌 2009;20(11):1233-1241 心気症 「身体症状に対する患者の誤った解釈に基づき、自分が重篤な病気にかかっているという概念へのとらわれ」、「そのとらわれは、適切な医学的な評価または保証にもかかわ…

生活習慣病と腰痛 2

松平浩、小西宏昭、三好光太、内田毅、竹下克志、原慶宏、町田秀人 勤労者における「仕事に支障をきたす非特異的腰痛」の危険因子 日整会誌 2010(84);452-457 Snook S.H.は現代社会において大きな問題は”low back pain(LBP)”でなく、”low back disability(LB…

生活習慣病と腰痛 1

平林冽、田口敏彦 生活習慣病と腰痛 −早期予防・早期対策にむけて 序文 日整会誌 2010(84);435-436 家庭や職場の雰囲気や人間関係が悪ければ腰痛が多発・難治化することは広く周知されてきたところである 腰痛が自覚的愁訴である以上、その発症と経過にはし…

松原貴子、鈴木重行 2運動療法の実際 第6回 難治性腰痛に対する集学的アプローチ 整形外科 2010;61(9) 広告のページ

難治性腰痛は、観血的治療や保存的治療によっても改善されない慢性疼痛であり、身体的要因のみならず、精神心理的、社会的要因が複雑に絡み合った病態を呈し、治療に難渋することが多い。したがって、痛みの身体的要因を追及するだけでは、この腰痛を治癒に…

心気症

#1 中村敬、樋ノ口潤一郎 高齢者の心気障害の臨床 老年精神医学雑誌 2004;15(4):415-422 #2金井貴夫、石郷岡純 高齢者の身体的心気的訴えの薬物療法 老年精神医学雑誌 2009;29(2):173-179 #3 栗田主一、井上由紀子、野呂雅人 身体的心気的訴えへの医療連携 …

半場道子 慢性疼痛と辺縁系 新薬と臨床 2010;59:S11-S20

集眉の問題は、不安、悲嘆、恐怖、ストレスなどが慢性疼痛にどのような影響を及ぼすのか、回復に至る道順はなにかを探ることである あらためて慢性疼痛の病像を整理すると 末梢組織の障害が完全に治癒しているにもかかわらず、なお続く痛みであり、器質的に…

慢性疼痛における認知行動療法の理論と実際

笠原諭 慢性疼痛における認知行動療法の理論と実際 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:39-47 認知行動療法とは、ある出来事に対する認知(捉え方)と行動を変えることで、問題への効果的な対処の仕方を習得させる治療法である 認知行動療法の基本モデル 認知行…

痛みと拘縮

沖田実、中野治郎、坂本淳也、横山真吾、近藤康隆、本田祐一郎、濱上陽平 痛みと拘縮 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:31-38 組織損傷の有無にかかわらず、痛みが発生すると脊髄後角は過興奮状態となり、この影響で運動神経が刺激され、筋スパズムとよばれる…

学際的痛み治療とチーム医療

北原雅樹 学際的痛み治療とチーム医療 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:24-30 生物医学モデル biomedical model 痛みには生物医学的原因が必ずあり、その原因を物理的治療法で除去すれば痛みは寛解し、痛みの緩解は患者の機能障害の減少に直結する。痛みが治…

中井吉英 慢性疼痛患者の身体・社会・行動 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:20-23

治療の目標を疼痛の改善よりも、痛みがあっても変化した事象(QOLや疼痛行動、認知)に焦点をあてることが肝要である 急性疼痛に対する診断や治療法では、慢性疼痛に治療は難しい。原因ー結果といったh直線的思考からシステム論的考え方に基づく円環的思考へ…

Chan-Toru beta

PC/smart phoneを使って、外出先からDVD recorderの録画予約をするシステム 公式サイト 私の環境 macbook pro/google chrome 6.0.458.1 sony RDZ-D77A 古い機種だが対応あり。リモート録画予約機能のみ対応 手順は公式サイトに詳しい 私の場合 HDレコーダをL…

ドクター・ショッピング―なぜ次々と医者を変えるのか (新潮新書)作者: 小野繁出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/09メディア: 新書購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (3件) を見る 気になることが病気の人 1 医師から症状についての説明を受け…