慢性疼痛における認知行動療法の理論と実際

笠原諭 慢性疼痛における認知行動療法の理論と実際 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:39-47

  • 認知行動療法とは、ある出来事に対する認知(捉え方)と行動を変えることで、問題への効果的な対処の仕方を習得させる治療法である
  • 認知行動療法の基本モデル
    • 認知行動療法では個人の体験を、「認知」「気分・感情」「行動」「身体反応」の個人内相互作用と、個人と環境との相互作用という二重の相互作用で捉えることを基本とする。これを認知行動療法の基本モデルと呼ぶ
    • 「認知」と「行動」は自分で選択が可能であり、それを変えていくことで悪循環から抜け出すことができ、結果的に「気分・感情」や「身体反応」、そして「状況や他者との関わり」が改善されるという考えに基づく。
    • 我々はある状況に出くわしたときに、自動的かつ瞬間的にある考えやイメージを抱く。これを自動思考と呼ぶ。
    • 認知行動療法ではネガティブな自動思考を認知の歪みと呼び、Burnsは10パターンに分類している。
    • 患者が自分の抱きやすい認知の歪みを同定出来るようになると、自分の考え方がなぜ歪んでいるかを理解でき、それを合理的に論破しやすくなる
    • コラム法
  • 明日からできる認知行動療法
    • ネガティブ日記 認知への介入 written emotional exposure
      • 現在の悩みや怒り、過去の傷付いた経験を毎日日記として書かせると、生体機能が改善するというものである
    • ポジティブカレンダー 行動への介入
      • 慢性疼痛患者には完全主義的傾向をもつものが多い。完璧主義者は貧欲で、“一気に、全部”を改善しようとし、やったことは無視する傾向が強い。また物事を成功や失敗か(結果)で評価する
      • 大きな経過を求めたがる貧欲さを“小さな成果をたくさん集める”ように方向転換させる
      • この方法により、1)毎日小さな達成感を味わえ、2)努力の蓄積(プロセス)に気づくことが出来る。
      • 読書療法 Feeling good (いやな気分よさようなら)をテキストに用いて読書療法

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

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