学際的痛み治療とチーム医療

北原雅樹 学際的痛み治療とチーム医療 日本運動器疼痛研究会誌 2010;2:24-30

  • 生物医学モデル biomedical model
    • 痛みには生物医学的原因が必ずあり、その原因を物理的治療法で除去すれば痛みは寛解し、痛みの緩解は患者の機能障害の減少に直結する。痛みが治療の対象であり、痛みを感じている患者とは直接の関係はない
    • 患者は受動的 医療者から治療指示をうけて直してもらう
    • 医療者は、受動的な患者にさまざまな治療を与える世話人
    • 受動的なリハビリ
  • 生物心理社会モデル biopsychosocial model
    • 痛みには生物的因子、社会的因子、心理的因子があり、それらは相互に密接に関連しつつ、それ自体が患者の一部である痛みに関与している。したがって、それぞれの因子を患者から切り離して治療しようとしても、有効性には限界がある
    • 治療の目的は患者の生活の質の向上であり、痛みの緩解を主目的にはしない
    • 患者は能動的 自分の人生に目標を持ち、自己の生活を自らの責任でコントロールし、治療に積極的に関わっていく
    • 医療者は、能動的な患者が生活を自己管理する技術をみにつけ、痛みに対処する考え方や方法を学ぶのを助ける教育指導者
    • 能動的なリハビリ
  • MPTのチームに共通して見られる特徴 multidisciplinary pain treatment
    • 慢性疼痛患者について概念を共有している
    • チームの各メンバーの評価や外部の医療機関の評価などに基づく様々な情報を統合して、鑑別診断をおこない治療プランを策定する。治療プランは、それぞれの患者に特異的なニーズに応用にカスタマイズする
    • データに基づいた包括的なリハビリテーションを作成し、それを実行するために協力する
    • 障害マネージメントについての哲学を共有している
    • 機能的なユニットとして活動している。すなわち、チームのメンバーはお互いに学び合い、チーム全体の所見や専門知識を統合した結果にしたがって、適宜、自分自身の意見を修正することもいとわない
  • MPTでよく使われている認知行動療法は、きわめて大雑把に説明すると、理性の力で感情をコントロールする方法論で、西洋合理主義的な雰囲気が強く感じられる。したがって、文化や歴史的背景の全くことなる日本で、かならずしも同等の有効性をもつとは限らない。