瀬尾憲司 痛みの病態生理第22回 臨床痛の要因分析:三叉神経領域の病態生理 理学療法 2009;26(10):1252-1262
山口佳子、熊澤孝朗 痛みの病態生理第23回 療法の考察:痛みのアセスメントと学際的アプローチ 理学療法 2009;26(11):1372-1380
- 痛み体験は生体への影響が大きく、あらゆるものを包含した多面的な体験である
- 一概に慢性的に痛みを訴える患者が大げさな表現をしているなどとは言い難く、実際の身体パフォーマンスとその認知レベルとが全く違う構造になってしまっている可能性がある
- 慢性的な痛みをもつ患者におけるアセスメントでは、欠かすことのできない3つの成分 痛みの表現、痛みに対する反応、生活・人生における痛みの影響
- PDASとHADを組み合わせた評価が、患者の全体像を把握する助け
- PDAS;pain disability assessment scale HAD;hospital anxiety and Depression scale
- 痛みの悪循環の第一段階は、痛みのために身体を動かさなくなることからはじまる。次第に身体面だけでなく情動面にも影響がおよび、そして家族をも巻き込んだ悪循環がおこり、病態は複雑化していく
- John Bonica (1917-1994) 麻酔科医
- 国際疼痛学会を設立
- 1960 シアトル、ワシントン大学で外来診療設備と10ベッド、そして特別に訓練をうけた看護婦5名とで痛みセンターを開設し、考案した痛み治療プログラムを実践し、スタンダードな治療では回復することができなかった慢性的な痛みの患者のうち3分の2が社会復帰できるようになったと報告している
- 学際的痛みセンター Dr Turk
- 痛みは完全になくなるわけではないが、無駄な薬物の摂取やドクターショッピングに終止符がうたれ、痛みとともに生きていく術を身につけ、生きていく自信が得られ、QOLが格段に上がるということができる
- ゴール設定
- 個人の持つ複雑さを解きほぐし、「痛みの中に人生がある」という状態から、「痛みは人生の一部分」とさせるまで、つまり、人として生きていくことができるように社会復帰させることが学際的痛みセンターの目的
- 患者にとってはもちろん痛みがゼロになることが一番望むところであるが、ゴールは具体的なこと、つまり何ができるようになりたいかで設定する。しかもそのゴールは、プログラム実施中の日々のものから、治療が終わるまでに目指すもの、そして最終的にどのような人生を望むかというものまで段階をわけて設定する。