2011-01-01から1年間の記事一覧

松平浩 大規模疫学調査から見えてきた日本人の腰痛 医道の日本 2010;799:11-23

例えば腰痛の犯人は椎間板だと信じるほうが、我々整形外科、脊髄外科医にとって治療をしやすいのですが、、椎体間を固定したり、人工椎間板(日本では使用できない)に置換したりしても、必ずしも患者さんを幸せにできていないのが現状です。 非特異的腰痛は…

松平浩、町田秀人、内田毅、小西宏昭、三好光太 仕事に支障をきたす非特異的腰痛の危険因子の検討 日本職業・災害医学会会誌 2009;57(1):5-10

欧米では、作業関連性腰痛が社会および経済に与える影響について多くの研究が行われてきた。これまで、腰痛の発症原因に関する研究では、身体的負荷および人間工学的問題がより重点的に検討されてきたが、いくつかの前向き研究の結果から、仕事の満足度や精…

慢性疼痛治療の新戦略

RD フィールズ 慢性疼痛治療の新戦略 日経サイエンス 2010 2月号 37-44 彼女の慢性疼痛は、身体の痛覚回路に異常が起き、絶えず間違った警報を鳴らし続けるせいで起きているのだ 脳や脊髄にあるニューロンとは別の「グリア細胞」の機能不全によって生じる痛…

脊椎手術後疼痛症候群 

大谷晃司 脊椎手術後疼痛症候群 麻酔 2010;59:1370-1377 無症候性の画像上の変化に対して手術が行われ、結果的に症状がよくならないという患者は、残念ながらいまだに多いと言わざろうえない BS-POPの評価内容 治療者用 疼痛行動(過敏性、演技性、誇張性)…

松平浩、小西宏昭、三好光太、内田毅、竹下克志、原慶宏、町田秀人 勤労者における「仕事に支障をきたす非特異的腰痛」の危険因子 日整会誌 2010;84:452-457

JOB(Japan occupational research of occupation-related back pain) study ベースラインデータ 首都圏42事業所約3万人の他業種の勤労者に調査依頼 書面で同意を取得できた 9307人(男 7720、平均年齢 42歳) 一年後の追跡調査 3811人 2年後 3194人 仕事…

慢性疼痛

中島恵子 慢性疼痛 総合リハ 2010;38(8):735-743 痛み行動 Fordyceらは、痛みをめぐって人が起こす随意的行動、すなわちオペラント(痛みを訴える、病院へ行く、薬を飲む、仕事学校家事を休むなど)を、知覚の痛みと区別し、総称して痛み行動と提唱し、「原…

住谷昌彦、宮内哲、植松弘進、四津有人、大竹祐子、山田芳嗣 幻肢痛の発症における大脳運動野の関与 麻酔 2010;59:1364-1369

ヒト幻肢痛症例を対象とした脳機能画像研究からは、大脳/脊髄上位中枢レべルでの機能再構築(reorganization)が幻肢痛の発症基盤として中心的な役割をはたしていると考えられている このようなS1/M1(senosorimotor cortex)での体部位再現地図の機能再構築は…

虐殺器官

虐殺器官 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 26人 クリック: 817回この商品を含むブログ (326件) を見る 痛覚マスキング。国防高等研究計画局が開発したこのグロテ…

交通事故後の遷延した疼痛

平林冽、高山真一郎 交通事故後の遷延した疼痛 麻酔 2010;59:1350-1356 大人ほど他罰性を認識しない小児や他罰性のない自己の過失による事故では、痛みはまず遷延しないといえる 交通事故で同じ頸部挫傷を受傷したとしても、本人には過失がなく追突された患…

松平浩 職場での腰痛には心理・社会的要因も関与している 産業医学ジャーナル 2010;33(1):60-66

Snook SHは現代社会において大きな問題は、”low back pain(LBP)”ではなく、”low back disability(LBD)”であると述べている 欧米ではbiomedical modelを前提とする人間工学的アプローチに主眼をおいた腰痛対策が立ち行かなくなった背景から心理・社会的要因が…

半場道子 慢性疼痛と脳 連載第4回 Practice of pain management 2011;2(3):176-182

「希望すること」、「きっと快くなると期待すること」が脳活動を刺激し、いかに生命機能を一変させるか、その機序の一端がみえてきた placebo鎮痛のメカニズムの中心となるのは、mesolimbic dopamine systemとopioid system 右の側坐核(rNAc)におけるdopamin…

うつ病と腰痛

吉田勝也、加藤敏 うつ病と腰痛 ー対象喪失と秩序の破綻 臨床精神病理 2006;27:185-195 Schoffermanらは、子ども時代に、親が薬物依存であったり、身体的虐待、性的虐待、ニグレクト、遺棄による心的外傷を受けると、成人してから、慢性腰痛に罹りやすいと述…

住谷昌彦 東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター Practice of pain management 2011;2(3):186-192

医療の現場では、いまだ、慢性疼痛の患者さんは、痛みに対して、「心因性だ」、「もう痛くないはずだ」といわれてしまっているのが現状のようです。こうした会話の一つ一つが、患者さんを苦しめる要因の一つになるため、医療者は発言に十分な注意が必要です…

触覚と痛み

触覚と痛み作者: 東山篤規,谷口俊治,宮岡徹,佐藤愛子出版社/メーカー: ブレーン出版発売日: 2000/04/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (1件) を見る

スピリチュアルな痛み

スピリチュアルな痛み―薬物や手術でとれない苦痛・叫びへのケア作者: ウァルデマールキッペス出版社/メーカー: 弓箭書院発売日: 2009/09/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見る

給与計算

給与計算メモ 給与計算は下記ソフトを利用している。所得税は総支給額から自動計算されるが、健康保険料、住民税、厚生年金保険料等は制度上、手入力にならざろうえない。毎月の繰り返し業務なので、今後のために記録を残しておく 使用ソフト 給与くん2011 …

頭痛めまいしびれの臨床

頭痛・めまい・しびれの臨床―病態生理学的アプローチ作者: 植村研一出版社/メーカー: 医学書院発売日: 1987/11/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (2件) を見るp105-142 第三章 しびれ しびれのもつ3つの意味 知覚鈍麻 異常…

特集 痛み その世界

鈴木重幸 特集 痛み その世界 Sportsmedicine 2007 8月号 vol 93 p5-17 まず、画像診断、つまりレントゲンやMRIなど画像でわかる変形や変性、たとえばヘルニアなど、確かに異常な形態をもっているけれども、それが直接痛みの原因でないことが多いということ…

訪れる痛みと与える痛み

信田さよ子 訪れる痛みと与える痛み 現代思想 2011;39(11):108-116 21世紀を迎えて様々な被害者とのかかわりが増えてきた。彼女たちは奇妙な痛み、理解不能な痛みを訴えるのだ 痛みと女性をつなぐものとしてアディクションがあり、そしてその背景には暴力…

腰痛のナゼとナゾ

腰痛のナゼとナゾASIN:9784895893701 p18 椎間板ヘルニアが画像で認められても、それが必ずしも痛みを起こしているわけではないことが明らかになってきているのです。 p24 従来のように「ヘルニアの存在=腰痛の原因」とする考え方を否定する研究結果が相次…

腰痛のナゼとナゾ

腰痛のナゼとナゾ―“治らない”を考える作者: 菊地臣一出版社/メーカー: メディカルトリビューン発売日: 2011/08/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (2件) を見る

痛みの記憶/記憶の痛み

熊谷晋一郎、大沢美幸 痛みの記憶/記憶の痛み 現代思想 2011;39(11):38-55 最近の痛みの研究の現場では、おそらく過去の痛みの記憶が、神経の中に記憶、痕跡として残ってしまっている、それが過去の記憶として成仏せずに、そのつどフラッシュバックのように…

ペインリハビリテーション 4

ASIN:9784895903851 P327-362 第二節 脳のリハビリテーション 痛みは感覚的側面、認知的側面、情動的側面の3つの視点をもつといわれているが、脳に対するリハビリテーションは、この中でも特に認知的側面、情動的側面に対するアプローチとなろう 痛みに対す…

知っておきたい腰痛診療上の知識

松平浩 知っておきたい腰痛診療上の知識 整形外科 2011;62(10):1119-1127 投薬治療の基本姿勢 痛みに対し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)一辺倒の時代は終焉した。腰痛疾患にかからわず、バイオメディカルな側面から、遭遇した患者の痛みがどのような状況…

ペインリハビリテーション 3

ASIN:9784895903851 P304-326 第四章第一節 末梢組織に対するリハビリテーション 1 組織損傷のリハビリテーション 末梢性疼痛が過度な場合や長期間継続する場合は、しばしば神経系の感作や可塑的変化を招来し、慢性痛に移行することから、治療戦略として一番…

ペインリハビリテーション 2

ASIN:9784895903851 P178-211 第二章第二節 痛みの発生メカニズムー中枢機構 1 脊髄の神経可塑的変化ー中枢性感作 2 脳の神経可塑的変化ー神経因性疼痛 MaCabe CRPS患者では顔を触られると患肢と感じることがあると報告した。一次体性感覚野における体部位再…

ペインリハビリテーション

ペインリハビリテーション作者: 松原貴子,沖田実,森岡周出版社/メーカー: 三輪書店発売日: 2011/05/30メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (4件) を見る P95-132 第一章第三節 痛みの神経科科学 1 脳の機能解剖 2…

慢性痛リハビリの臨床

本田哲三、本田玖美子、高橋理夏 慢性痛リハビリの臨床 現代思想 2011;39 8月号 p126-134 慢性疼痛プログラム遂行上のポイントと現場スタッフの手触り 1)安易に「心因性」と決め付けない、2)患者さんにとって痛みはとりあえず「真」であると受け止める、3…

痛みに関する臨床研究の成果と今後の課題

櫻井博紀、平野幸伸 痛みに関する臨床研究の成果と今後の課題 理学療法 2010;27(7):846-851 国際疼痛学会IASPは痛みを「不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある」と定義しており…

慢性疼痛とうつ病

佐藤武、郭偉、伊藤奈々 慢性疼痛とうつ病 総合臨牀 2010;59:1268-1272 慢性疼痛に悩まされる患者は生きていく目標や自身を失い、社会的な職業を失い、家族を失うなど、喪失体験ばかりである。そこには喪失対象にともなう悲哀の心理過程を経験する。その経験…