大谷晃司 脊椎手術後疼痛症候群 麻酔 2010;59:1370-1377
- 無症候性の画像上の変化に対して手術が行われ、結果的に症状がよくならないという患者は、残念ながらいまだに多いと言わざろうえない
- BS-POPの評価内容
- 非手術症例以上に手術既往症例では、画像上の脊柱管内の形態異常がかならずしも機能異常の有無や機能障害の程度を反映しない
- 少なくとも比較的臨床研究の集積のある腰仙椎部の椎間板造影では、その疼痛分析における有効性については疑問を投げかける結果が多い
- 一般に脊椎手術後疼痛症候群の追加手術の成績は不良であることが多い
- 心理的あるいは社会的因子といった非器質的因子の関与を疑う場合には、心身医療科や心療内科への受診を勧める。治療をうまく続けていくコツは、完全に心身医療科や心療内科に診療を任せてしまうのではなく、疼痛を治療している我々も、治療に関与し続けることである。なぜならば、患者は痛い、しびれる、あるいはそれらによって何らかの機能障害が生じていることが主訴であるからである。ましてや、手術を行った診療科が、”手術はうまくいった、どこもわるいところはないので、もうこなくてよい”と言ってしまうと、患者は路頭に迷い、ドクターショッピングを続けることになりかねない。これは、手術を行った患者は肝に命ずるべきことと考える