中島恵子 慢性疼痛 総合リハ 2010;38(8):735-743
- 痛み行動
- Fordyceらは、痛みをめぐって人が起こす随意的行動、すなわちオペラント(痛みを訴える、病院へ行く、薬を飲む、仕事学校家事を休むなど)を、知覚の痛みと区別し、総称して痛み行動と提唱し、「原因の特定できない慢性疼痛の患者で医療従事者が扱えるのは痛み行動だけである」とした。米国では、この理論を基盤にペインプログラムを発展させ、ペインマネジメントセンターが開設された
- 慢性疼痛における痛み行動は、それに対する周囲の反応によって規定される(オペラント条件付け)と捉えられている。痛み行動が強化される(報酬を与えられる)ような条件下では痛み行動は強化されるが、強化されない条件では減少するという行動療法の理論が当てはまる
- Beckは、人の認知(物の見方・捉え方)には自動思考(ある出来事が起こったときに瞬間的に頭に浮かぶこと)が関与し、たとえば「痛みがある→身体のどこかがわるいはずだ→この痛みが仕事をできなくさせている→気持ちが落ち込む」など、感情が物の見方に密接に関係するため、ものの見方を再検討することによって感情状態を変化させ、現実的、客観的に問題に対処していく認知行動療法を提唱した
- 痛み行動には、患者本人のものの見方・捉え方という認知と、周囲の反応によって規定される行動の両面からのアプローチが必要となる
- 患者自らが自分のものの見方、考え方、捉え方に気付き、適応的な認知への変容(否定的思考から肯定的思考へ)していくことにより、感情や行動の修正(認知再構成法)を行うことを目的とする
- 患者のものの見方、考え方、捉え方がかわることによって感情や行動がかわることが患者自身が経験することで、感情や行動は自分でコントロールできるという自覚を促すことを積極的に行う心理療法である。最終的に患者自身のセルフコントロールの獲得を目指す
- ストレスコーピング 8つの対処型
- 計画型、対決型、社会的支援模索型、責任受容型、自己コントロール型、逃避型、隔離型、肯定評価形
- Nakashima 慢性疼痛患者は心気的でこだわりが強く、落ち込みがちな患者群と、もうひとつは転換型(ヒステリー)の患者の大きく2つに分けられるが、日本は前者が多い
- 慢性疼痛のへの認知行動療法
- 今後の課題