- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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- 痛覚マスキング。国防高等研究計画局が開発したこのグロテスクな麻酔は、戦闘の障害になる「痛み」を「感じるの」を抑えながら、「痛い」と「知覚する」ことは妨害しないという効果をもつ。なぜこんな不気味なことができるのかというと、痛みとして「強く感じる」ことと、痛みを「認識」することは、脳の別のモジュールが行なっている処理だからだ。
- 心理技官が感情を調整し、不要な感覚にマスキングを施し、協調行動の形成を促進する薬物が投与される。オルタナで訓練し、想定し、計画する。すべてが終わってから、インドへと旅立つ前日、ぼくは鏡の前にたって、指先に針を刺した。痛かった。痛いことがわかった。なのに、痛さは感じなかった。
- 最近読んだSFからの引用。
- 実現されれば慢性疼痛の臨床にも応用が可能と思われる。
- 「現実はかつてすべて想像の中にあった」 アインシュタイン