- JOB(Japan occupational research of occupation-related back pain) study
- ベースラインデータ
- 首都圏42事業所約3万人の他業種の勤労者に調査依頼
- 書面で同意を取得できた 9307人(男 7720、平均年齢 42歳)
- 一年後の追跡調査 3811人 2年後 3194人
- 仕事に支障をきたす非特異的腰痛の新規発生の危険因子の検討
- ベースライン調査時から過去一年腰痛がなく、かつ二年間を通じて追跡調査の回答を収集できた836人を対象
- 単変量解析 腰痛の既往、持ち上げ動作が頻繁なこと、職場での対人関係のストレスが強いこと、単調な反復動作が多いと感じていることの4項目で有意
- この4要因を独立変数とした多変量解析を行った結果、腰痛既往あり、 持ち上げ動作が頻繁なこと、職場での対人関係のストレスが強いことにおいては、他の要因を調整しても有意差有り。単調な反復作用と感じていることもほぼ有意。
- 仕事に支障をきたす非特異的腰痛の慢性化の危険因子
- 単回帰解析 イライラ感が強い、不安感が強い、仕事や生活での低い満足度、働きがいが低い、夜勤のある不規則な勤務体制であること、事故・天災・死・暴力(虐待)などで非常に大きな精神的ショックを小児期(14歳以下)に受けそれが今でも精神的に影響していること、ベースラインでの強い痛みレベル、以上8項目で有意
- 多変量解析 仕事や生活の満足度が低いことおよび働きがいが低いことが、他の要因も調整しても有意
- 考察
- 本検討結果から、欧米と文化・国民性の異なるわが国の産業現場でも、LBD(low back disability)には心理・社会的要因が強く影響すること、つまりLBDは生物・心理・社会的疼痛モデルとして捉えることが望ましいことが示唆された
- 今後は作業現場における人間工学的介入をより積極的に導入し、LBDの発生が予防できるか検証してみる必要性があると思われた。加えて定期的なストレスチェックを行い、勤労者の心理社会的側面にも注意をはらうこともLBDの発生音予防対策として重要と考える。LBDの慢性化を防ぐための対策としては、より心理社会面への対応が不可欠であろう。