細井昌子

細井昌子 慢性疼痛 過活動のスクリーンセイバー仮説 心身医 2013;53(3):263-268

心療内科および心身医学を標榜する医師にとって、慢性疼痛治療に苦手意識を実感する理由 慢性疼痛患者は心理的葛藤が意識化されず身体症状に固執しており、「痛みさえなくなれば大丈夫なはずだ」という認識があり、心理療法の導入が困難である かなりの過活…

細井昌子、安野広三、柴田舞欧 慢性痛の心身学的メカニズムの解明とそのアプローチ 過活動のスクリーンセイバー仮説を一助として 2 ペインクリニック 2012;33(12):1691-1701

近年、興味を持たれるようになって内受容(interoception)に関する脳内ネットワークが、pain-emotion-rewardと関連したネットワークをシェアしているという知見も加わって、失感情症が「内受容の異常」を伴うという観点で考えると、現代脳科学と疼痛行動とい…

細井昌子、安野広三、柴田舞欧 慢性痛の心身学的メカニズムの解明とそのアプローチ 過活動のスクリーンセイバー仮説を一助として 1 ペインクリニック 2012;33(12):1691-1701

いつもながら感服させられる論文です。内容が濃すぎて短くまとめられず。 不安が強い症例では、機能的痛みでもかなりの痛み苦悩が伴うこともある 機能的痛みであっても器質的異常に伴う痛みと同程度の苦しい痛みが起こることがあることを、患者の理解力に合…

河田浩、細井昌子 慢性疼痛と心のケア Bone Joint Nerve 2012;2(2):309-315

まずは患者―医師間の信頼関係が最も重要である。そのうえで、患者に寄り添い、できうる範囲でゆっくり傾聴する態度が必要であろう 実際に痛みを感じているのに、それに見合うだけの器質的な疾患をみとめないために病気と認められず、心理的な辛さが表出でき…

河田浩、細井昌子 慢性疼痛と心のケア Bone Joint Nerve 2012;2(2):309-315

医学的な観点の痛み、文学的・言語的観点での痛み 遷延化した慢性疼痛症例の診療にあたり、患者が体の痛みを通じて訴えている内容について時間をかけて詳細に分析していくと、病院において時間をかけて詳細に分析していくと、病院において患者と呼ばれている…

細井昌子 九州大学病院心療内科 Practice of Pain Management 2012;3(1):38-48

池見酉二郎 人間のさまざまな社会的な部分を取り去っていくと、その中心には人間の本当に辛い部分があり、それはまるで玉ねぎの皮を剥くとでてくる涙のようなものだ 当科では、慢性疼痛の患者さんに対して、認知行動療法、交流分析、自律訓練法を3本柱にし…

木下由美子、細井昌子、藤本恵美、平川さつき、富岡光直、澤本良子、下村誠子、久保千春 強い依存欲求を治療的に有効利用した疼痛障害患者に対するチームアプローチ 心身医 2007;47(5):339-345

人生早期の母親への依存関係は、その後の対人交流に多大な影響を与える。疼痛性障害患者では疼痛を訴え行動(疼痛行動)が主要な問題となることがあり、そのような症例では生育歴上母親との葛藤により満たされなかった強い依存欲求が潜在し、現在の行動様式…

有村達之、細井昌子 慢性疼痛の認知行動療法とその進歩 Practice of Pain Management 2011;2(4):236-239

認知行動療法 第一世代 行動の修正を目標とする行動療法 痛みを訴えることで周囲から社会的かかわりを得ていたパターンを活動することで関わりを得るというパターンに逆転させる 第二世代 認知の修正を重要視する認知行動療法 ストレス免疫訓練 「痛みのせい…

清水由江、細井昌子、久保千春 慢性疼痛―身体医療と精神医療の境界疾患 精神科 2006;9(4):279-287

Bonica 慢性疼痛の定義 急性疾患の通常の経過あるいは外傷の治癒に相当する期間を一ヶ月以上超えて持続するか、継続する痛みの原因となる慢性の病理プロセスと一体となっている疼痛、もしくは数ヶ月から数年の間隔で反復する疼痛 国際疼痛学会痛みの定義 組…

川田浩、細井昌子 痛みの不安とそのマネジメント 臨床精神医学 2010;39(4)457-46

不快な体験である痛みは、感覚の次元と情動の次元が混合しており、総体として言語的に主観的に認知される苦悩体験であることが重要であり、QOLを著しく損なうものである。 脅威を感じるような状況で、「戦いか逃避か」まだ判然としない状態が、不安状態であ…

山下真、細井昌子、嶋本正弥、野村幸伸、小幡哲嗣、富岡光直、久保千春 強い医療不信を示した難治性疼痛障害に、老年期孤独感を対象とした家族療法が奏功した症例 慢性疼痛 2008;27:93-98

症例 痛みの破局化が著明で、TAS-20では外的思考が高く失感情傾向が認められた 入院一ヵ月後、自分の家族に対する思いが痛みに関係しているかもしれないと主治医に語りだした 患者は家庭で強い孤独感を抱いていたことが明らかになった 家族療法を導入して患…

清水由江、細井昌子、久保千春 慢性疼痛―身体医療と精神医療の境界疾患 精神科 2006;9:279-287

急性疼痛 身体組織になんらかの障害が存在していることを示す警告信号 慢性疼痛 Bonica 急性疾患の通常の経過あるいは外傷の治癒に相当する期間を一ヶ月以上超えて持続するか、継続する痛みの原因となる慢性の病理的プロセスと一体となっている疼痛、もしく…

細井昌子 集学的治療実践の場から見た慢性疼痛ー内科領域ー こころの臨床ア・ラ・カルト 1994;13:21-25

その率直な訴えに沿って、その痛みが発症し持続、増悪していく流れを患者の身体の変化や周囲の対応の仕方との観点で検討していくと、意外にも先進的な医療機器を使用せずして、その痛みの警告していることが理解しやすくなってくる事が多い。 つまりそれらの…

細井昌子 特集慢性疼痛の心身医学 心身医 2010;50:1122

慢性疼痛を持つ患者の治療対象が混とんとしたままで生物医学的観点のみの評価と疼痛の自覚的訴えの強さに基づくオピオイドを漫然と処方されると、慢性疼痛症例がさらに複雑な形で難治化することが懸念されます。 安野広三、細井昌子、柴田舞欧、船越聖子、有…

細井昌子 ペインクリニシャンによる慢性痛患者への心理学的アプローチ Anet 2010;14(1):10-12

痛みの認知行動学的研究が欧米で進歩する中で、慢性痛をもつ患者では、痛みに対する悲観的な認知・思考である痛みの破局化(catastrophizing)が治療対象として重要であることが理解されてきた 痛みの治療の中で形成されてきた医療不信は、難治例であればるほ…

細井昌子 慢性疼痛の心身医療におけるNarrative Based Medicine -実存的苦悩に焦点を当てた積極的傾聴- ペインクリニック 2010;31(3):289-298 後半

現代日本における慢性疼痛のnarrative 年代性別によるプロトタイプ 主人在宅ストレス症候群 60歳前後あるいはそれ以降の主婦の慢性疼痛症例に多く観察される背景 仕事一筋で無趣味だった夫が定年退職などで長時間自宅に滞在することで、妻の心身の状態が悪化…

細井昌子 慢性疼痛の心身医療におけるNarrative Based Medicine -実存的苦悩に焦点を当てた積極的傾聴- ペインクリニック 2010;31(3):289-298 前半

慢性疼痛難治例の特徴として、医療不信とそれに基づくドクターショッピングがある。 そういった経過を経た慢性疼痛をもつ個々の症例のnarrativeを丁寧に傾聴すると、医療側のnarrativeともいえる生物医学的な因果関係論に基づく病態仮説では包含しきれない患…

細井昌子、富岡光直 痛みと不信 痛みの情動成分への対処の重要性 Ortho Community 2009 No33 p7-8

整形外科医が外科医であるとともに、心身医学を含んだ診療を患者から求められていることを実感する。整形外科の手術の妙に加えて、ヒトの心と体の妙を体験的に理解しているのが整形外科領域における名医であろう 末梢の痛覚線維から上行した侵害受容情報は、…

内臓痛と感情 ー島皮質の役割 消心身医 2009;16(1):32-38

痛みの定義 痛みとは組織の実質的あるいは潜在的な障害にむすびつくか、このような障害をあらわす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である 注目すべき点は、主観的な体験を痛みと定義しており、人の発する痛みを表す言葉をもって表されるものを痛…

細井昌子 慢性疼痛の系統的治療における心身医学的視点の重要性 - 心療ペインクリニックの勧め  ペインクリニック 2009;30(8):1058-1067

国際疼痛学会の痛みの定義 組織の実質的あるいは潜在的な障害に結びつくか、このような障害をあらわす言葉をつかって述べられる不快な感覚、情動体験 ここで注目すべきなのは、主観的な痛み体験だけでなく、情動体験を含めて「痛み」と定義し、ヒトが言葉を…

細井昌子 慢性疼痛と心 - Damasioのsomatic marker hypothesisの概念から ペインクリニック 2009;30(7):939-945

胸は心拍など自律神経活動の変化を感じ取る「体」の代表で、「脳と体が統合した核心的な自分の本当の姿」を「心」と呼んでいるのかもしれない 心療内科は「心身一如」という言葉もあり、「生育環境による個々の条件付けによって形成された脳における神経回路…

細井昌子、久保千春 慢性疼痛の多面的評価 心身医 2009;49(8):885-891

痛みの定義 1974 Bonicaが設立した国際疼痛学会 組織の実質的あるいは潜在的な障害に結びつくか、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験 注目すべきなのは、主観的な情動体験だけでなく、情動体験を「痛み」と定義していることで…

細井昌子 慢性疼痛の系統的治療における心身医学的治療の位置づけ Medical ASAHI 2009 Jun 62-63

迷宮入り症例 学習性疼痛と精神医学的メカニズムによる疼痛 臨床的な慢性疼痛は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛が、各症例の各時点で様々な割合で混在した複合体で考えることが重要である 質的に異なる痛みの複合体を合併した不快な感覚情動体…

細井昌子、久保千春 慢性疼痛の心身医療と帯状回 Clinical Neuroscience 2005;23(11):1276-1279

IASP 痛みの定義 痛みとは組織の実質的あるいは潜在的な障害に結びつくか、このような障害を表す言葉をつかって述べられる不快な感覚・情動体験である 1994 痛みには不快な情動成分があり、そのことに関しても言及している定義であることが注目に値する。 大…

 p236-7 #95 児玉謙次、細井昌子、有村達之 認知行動療法

認知行動療法 認知に焦点をあてる心理療法である認知療法と学習理論に基づく行動変容をおこなう心理療法である行動療法の2つが不可分に結びついて構成されている心理療法 慢性疼痛に対する認知行動療法はワシントン大学のFordyceが先駆的に導入 学習理論の…

細井昌子 痛みと薬物療法 臨床精神医学 2008;37(1):11-18

慢性疼痛患者の特徴 患者の不快な痛み体験が問題であるのみならず、痛み体験に対する認知(疼痛認知)が破局的であり(破局化)、痛みを訴える行動(疼痛行動)が生活障害や家族や社会システムでの役割機能障害を引き起こし、本人をとりまく家族や医療スタッ…

細井昌子 p127 こころとからだ、その治療の実践

脊髄視床路は痛みの感覚成分および情動成分を末梢から中枢へと伝える。逆に、中枢から脊髄後角に痛みを調節する経路である下行性の痛覚調整系が存在し、痛みは抑制あるいは増強されている。痛みの経路は複雑であり、身体医学は、痛覚経路の一部分を対象とし…

細井昌子 痛みと心身医学 MB Med Reha 2007;79:13-20

慢性疼痛の治療 患者の苦痛、困難、苦悩をいかに多面的に理解し、患者の感情の安定化を図り活動性を上げていくかが慢性疼痛の治療の鍵 痛みは主観的な不快な感覚体験のみでなく、不快な情動体験であるという観点が重要であり、本人が痛みを表す言葉でその体…

細井昌子 心因性慢性疼痛 治療 2008;90(7):2063-2072

心因性疼痛は、痛み体験の慢性化に伴い、痛みによる不快感覚および不快感情に加えて、生育歴や生活環境からくる心理的葛藤に由来する不快感情が混在し、苦悩が深まっている病態と考えられる。 痛み体験には、それが急性疼痛であろうと侵害受容性疼痛であろう…

久保千春、細井昌子 慢性疼痛とうつ ストレスと臨床 2006;26:32-37

慢性疼痛は組織損傷を知らせる警告信号としての役割が消失しており、疼痛を訴える行動(疼痛行動)が患者の周囲の重要な人物との交流パターンに組み入れられていることが多い うつ病はバックグラウンドの無意識的、否定的気分や意識的悲観的な思考パターンに…