- 痛みの定義 1974 Bonicaが設立した国際疼痛学会
- 臨床現場における慢性疼痛の諸問題
- 慢性疼痛とうつの合併 不安やうつといった陰性感情との合併により、患者本人の苦悩が増している
- 鎮痛剤の乱用とそれに伴う副作用 頻回手術症
- 無効な手術の繰り返しにより、本人のみならず介護する家族も将来を悲観視し、痛みの破局化が観察される
- 慢性疼痛の治療対象
- 慢性疼痛医療の実際では、個人にとってどのような痛み体験がおこっているかに加えて、個人が痛み体験をどのように認知し、実現しているかという観点で、各症例を分析していくことが臨床的に有用である
- 難治化した症例では、言語的、表面的、意識的に訴えている体の痛み以外に、非言語的、潜在的、無意識的に医療が家族、社会にどのような助けを求めているかを理解していくことに時間をかけることが、結果的に近道になる
- 身体の異常に関する分析では医師は「完璧主義である」ことが理想ではあるが、難治例であればあるほど、患者が「痛い」といわない状態を主要な目的にしない「非完璧主義」が臨床上の知恵となる
- 慢性疼痛評価の心身医学的観点
- 慢性疼痛は実際には侵害需要性疼痛、神経障害性疼痛、視認性疼痛が各症例の各時点でさまざまな割合で混在した複合体であるとかんがえられる。個々の症例でも「時間とともに痛みの構成成分が変化する」という観点が需要である。
- 痛み研究に関する評価法 国際疼痛学会
- IMMPACT, IMMPACTII (initiative on Method, Measurement, adn Pain Assessment in Clinical Trials)
- 慢性疼痛の多面的評価
- 慢性疼痛の評価と治療対象
- 医療不信
- 過去の医療との関わり方には、個人の生育歴に起因する基礎となる人間不信の感情が影響していることがあり、過去の医療者のどのような行動に対して怒りや不満を感じているかを理解すると、患者の認知行動を理解するのに有用である。難治例の多くは、患者本人あるいは患者にとって重要な人物(多くは家族0による実際の医療での不幸な経験により、医療一般との信頼関係が損なわれていることがある。そのような個人的な体験を言語化し、不信の原因となった事象を理解しておくと、患者の示す一見過剰な検査希望の感情が理解しやすくなる
- 破局化
- 患者の生活歴で、苦労があったときどのようにその時代を乗り越えてきたかの対処法を聞いておくと、過去に築いた個人の脳回路を有効利用することになり、痛みに伴う陰性感情を乗り越える一助になることがある
- 疼痛行動
- 失感情傾向
- 強迫的な行動パターン
- 慢性疼痛の難治例で多く認められるのが、強迫的な行動パターンである。多くは生育歴にねざした心理的葛藤が強く、難治例では身体的、心理的虐待、性的虐待などがある場合がある
- そのような抑圧したつらい苦悩を意識にあがらせないために、ゆったりとした時間を意識にあがらせないために、ゆったりとした時間を過ごすことができずに、趣味活動などの過活動や長期間にわたり行動を続けるという行動パターンを示すことが多い。適当なペース配分ができていないということから、pacingの異常を表現されることもある
- そのような症例で生活歴を聴取すると、心理的に重要な時期だけ記憶がない場合があるが、信頼関係が形成されるてくるにつれて、そのつらい時期のことが突然思い出されくることがある。無意識に追いやられてきた過去のつらい体験が意識化されるにつれ、徐々に情緒的に安定し、強迫的な行動パターンをコントロールできるようになることがある
- 家族との交流不全
- 言語的に痛み以外で家族と安定した交流が促さなければ、痛みにの訴えの改善は望めないことになる
(いつもながら示唆に富む論文です)