- 脊髄視床路は痛みの感覚成分および情動成分を末梢から中枢へと伝える。逆に、中枢から脊髄後角に痛みを調節する経路である下行性の痛覚調整系が存在し、痛みは抑制あるいは増強されている。痛みの経路は複雑であり、身体医学は、痛覚経路の一部分を対象としているに過ぎない。
- 痛みの定義より 痛みは感覚であると理解されているが、同時に情動であること、また主観的な苦痛体験であることが重要なポイントである
- 痛みの情動的認識:内側脊髄視床路 警報としてのサイレンが不愉快な大きな音でなにか大変なことが起こっているとおおまかに伝える
- 識別的認識:外側脊髄視床路 どこでなにがおこっているかの詳しい情報が伝えられる
- 複雑多岐にわたる痛みの経路のなかで、身体医学で治療対象となるのは、末梢から脊髄に至る痛みの経路のみ
- 人間らしい痛みの苦しみの成分や、痛みの個人差を説明しうる痛みの内因性の抑制あるいは調節系の部分などの経路が常に患者の生体システムではたらいているにもかかわらず、このような痛みの情動のしえぶんを対象としないことは理論的にも不十分
- 医療スタッフが理解している痛覚経路が痛みの一部分にすぎないことを肝に銘ずるべきである
- 痛み行動の報酬
- 重要な人物からの注目関心擁護的かかわり
- 家庭または社会生活への再適応の回避
- 怒り、不満、罪悪感といった心理的苦痛の抑圧
- 他の家族成員間の葛藤の回避
- 難治化している症例に多く認められるのが医療不信である
- 疼痛性障害
古関啓二郎 p142 精神科領域からみた慢性疼痛とそのケア