- 認知行動療法
- 第一世代
- 行動の修正を目標とする行動療法
- 痛みを訴えることで周囲から社会的かかわりを得ていたパターンを活動することで関わりを得るというパターンに逆転させる
- 第二世代
- 第3世代
- 従来の認知行動療法は、認知や行動、感情の修正や変化を目標にしているが、第三世代認知行動療法は変化よりも受容を治療目標とするのが大きな特徴である。
- マインドフルネスという概念が強調される
- マインドフルネスとは「今瞬間にしていること、感じていること、そこに存在していることに、価値判断をしないで意図的に注意を向ける」という精神状態のことを指す
- その時痛みや不安や抑うつ、怒りなどの不快な感覚、感情状態があったとしても、不快感とともにいられるという精神状態でもある
- マインドフルネスが訓練によって獲得されると、患者は痛みやストレスなど不快な出来事や症状に耐え、それらを受容できるようになる
- 私たちの臨床経験によれば、痛みや不快感(抑うつや不安を含む)を受容できるようになった患者は、疼痛行動や抑うつ、不安、怒りが減少し、治療者として非常に付き合いやすくなる
- マインドフルネス低減法(mindfulness-based stress reduction;MSBR) 自分の呼吸を観察する訓練、自分の身体を意識する訓練
- ACT;acceptance commitment therapy, 文脈的認知行動療法;contextual cognitive-behabioral therapy;CCBT
- ACTでは痛みや抑うつ、不安や怒りなど否定的体験をコントロールせず、受容を目指す
- 患者には、痛みをとってしまうのではなく、悩みや痛みやストレスに耐えられるようになって、それを受け入れられるようになる訓練と説明した
- 痛みやストレスを他人や先生をあてにしてなんとかしてもらうのでなく、自分で対応出来るように訓練するのが重要とも説明している
- 他人は自分が思うようにはならず、他人に期待しすぎると結局思い通りにならなくて怒りを感じることが増えてストレスが増強すること、痛みはストレスによって増強することが多いので、それは痛みの悪化にすながるかもしれないとも教示する
- 訓練が進んでいくと患者は感情体験に気づくうようになり、ストレスや痛みへの耐性が増加する。否定的感情体験がなくなるわけでなく、むしろ、それによく気づくようになるが、そこから生じる苦痛は減っていき、精神的に安定していく
- 患者は訓練の結果、他者への怒りをよく認識できるようになるのであるが、怒りを治療スタッフなどの他者に見境なく、時と場合をわきまえずに表出する傾向はむしろ減っていく。
- 慢性疼痛患者は自己の感情体験の原因について気づかないことが多く、これを失感情症と呼ぶが、マインドフルネストレーニングの結果、自己の感情体験の原因に対する気付き(洞察)を得ることもしばしばである。たとえば家族に対応に不満があるにもかかわらず、それに気づいていなかった患者が、家族に対する怒りを感じたときに痛みがひどくなると気づくなどである。マインドフルトレーニングは、面接場面で感情の表現ができず(失感情傾向)、通常の心理的介入が無効な症例や、他罰的で怒りのコントロールが難しい症例に有用な印象である
- 患者が懇願する痛みの減少や消失そのものよりは、その当面の目標を受け入れていくうちに、心身の緊張が緩和され、本来の痛み体験が減少していく、つまり、「痛みの受容が痛みの減少へ導く」という逆説的な減少を目にすることも多い