身体知覚と運動学習 

森岡周 身体知覚と運動学習 四国理学療法士会学会誌 2011;(33): 5-8

  • 身体帰属感 (sense of self-ownership)は、視覚と体性感覚が時間的・空間的に一致する(整合性)ことで生まれるが、逆に一致しないとそれを喪失してしまう
  • 責任領域 頭頂葉と運動前野
  • 体性感覚情報と視覚情報に整合性をもたらすことが、まずはリハビリテーション治療で優先されるべきであろう
  • 体性感覚情報と視覚情報に食い違い(sensory discrepancy)が生じてしまうと、neglect-like syndrome (無視様症候群)が生じ、自己の身体を物体として捉え、そのもの自体を否認(重度になれば身体失認として捉えられる)してしまう
  • これが経験として構築されると、それ自体を脳が学習してしまう。(例えばlearned non-use)
  • また食い違いによって身体に対して不快感が出現してしまうと、痛みや身体の不使用を助長してしまう学習された無力感(learned helplessness)を出現させてしまう可能性がある
  • 教科学習システム
    • 中脳黒質腹側被蓋野
    • 中脳黒質 A9ドーパミン細胞 主に運動の発現や維持
    • 腹側被蓋野 A10ドーパミン細胞 動機づけや意欲
    • ドーパミン神経細胞は「行動を起こす時に得られる期待される報酬の量」と「行動をとった結果、実際に得られた報酬の量」の誤差(予測誤差)に応じで興奮し、興奮の度合いに比例して、行動を起こすのにかんよした神経結合のシナプス伝導効率を向上させる
    • したがって、ドーパミン神経細胞は単なる快楽でなく、予測報酬と結果報酬の正の誤差によって興奮するといえる
    • リハに翻訳すると、第一に患者自らが報酬を予測することが大切である。セラピストの援助因子も大切