非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性

高橋由香里、加藤房夫 非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性 Bone Joint Nerve 2012;2(2):249-252

  • 痛みの経路
    • 第一 外側経路 痛みの感覚・弁別的要素 
    • 第二 内側経路 痛みの情動的要素
    • 第三 腕傍核のシナプスだけを介して直接的に侵害受容情報を扁桃体に伝えることを可能にするもので、「脊髄―腕傍核―扁桃体路」と呼ばれている
  • CeC(扁桃体中心角外包部 capsular part of the central amygdala)は「侵害受容扁桃体(nociceptive amygdala)」と呼ばれるに至った。この脊髄―腕傍核―扁桃体路が、視床や皮質などの分析過程をバイパスして、「有害性警告」情報を直接的に扁桃体に伝える機構であり、侵害受容情報の生物学的本質である「有害性を生体に警告する」という機能に直接関与する進化的に古い系であると考えられている
  • 扁桃体の神経生理的特性は、それが、記憶・学習の座として知られる海馬と並ぶ高い可塑性を示す領域であることである。
  • 侵害受容が存在しない、あるいは弱い状態下いおいても、扁桃体が、「痛みの陰性情動」=「有害性警告情報」を生成し、慢性疼痛の苦痛を引き起こしうる可能性を示唆する。