慢性疼痛の形成機序に関する最新の研究動向

池田亮、加藤総夫 慢性疼痛の形成機序に関する最新の研究動向 Bone Joint Nerve 2012;2(2):209-215

  • 扁桃体は、脳内情動処理機構の中心的役割を担うだけでなく、「痛み」入力そのものが視床・皮質を介さず直接伝達される核として重要である
  • 記憶や学習はこのシナプス可塑性を基盤機構とする代表的な減少であり、海馬や扁桃体はその代表的な神経核である
  • モデル動物の脊髄後角では、本来脊髄深層にあるべきAβ線維の終末が、痛み感覚の求心性線維であるAδ線維が終末する浅層にその側枝を伸ばし、その結果アロデニアを惹き起こしている可能性が示されている
  • 神経系内のマクロファージ的役割を担うミクログリアにおいてはATP受容体の一つであるP2X2の発現増加が認められ、この受容体の働きを抑制することでアロデニアが軽減されることがわかった