- Boos 椎間板ヘルニアそのものが腰痛の原因となることはむしろ珍しく、症状を起こすためには神経根の圧迫が大きな要因
- 菊地 椎間板ヘルニアによる神経根へ機械的圧迫のみでは、単なる下肢に重苦しい感じを訴えるだけで、痛みを引き起こさないと結論付け、疼痛の出現は炎症性物質の関与を示唆
- 造影像だけでは疼痛その他の症状の根拠とはならない
- 牛田 変形性関節症の痛みは骨同士が擦れ合って起こる骨のC線維の興奮よりも、関節周囲組織を介したいたみであるという見解が多い
- 運動器の痛みは、器質的変化、機能的変化(結合織の粘弾性の低下、筋緊張亢進)、さらにはその重複が考えられる
- 筋が関与する痛みの発現部位には筋硬結が多く存在する
- 触診は母指指腹で行うことを基本
- 疼痛が発現する運動痛は短縮痛、伸張痛、収縮痛の3種類
- 諸外国に存在する運動器の慢性的な痛みに対する学際的痛みセンターにおいても、理学療法士は中心的なメンバーとして認識されており、その役割は大きい
村上孝徳、石合純夫 整形外科から観た痛みのリハビリテーション MB Med Reha 2007;79:39-45
- 慢性痛を心理的要素のみに規定し、治療することは困難
- 慢性痛は多因子による病態が想定され、原因の客観的な把握が困難なため、心理的要因がいたずらにきょうちょうされてきた
- 慢性疼痛の治療において、疼痛の完全な除去は困難であり、患者治療者とも、この点にこだわる限り袋小路に陥りかねない。
- 心理的要素にのみ慢性疼痛の原因をもとめても大きな改善が得られる例は少ない
- 慢性疼痛の治療にあたっては急性疼痛における侵害刺激の除去という従来の治療概念のみでは対処は困難であり、疼痛の発生機序に対して新しく、広い概念をもつ必要がある
- 身体科を訪れる患者は、自らの身体の異常を確信しており、心理的要素のみによる説明では納得を得られないことが多い。
- 除痛を治療の最大の目的とするよりも正常な社会生活に一歩でも近づけること、すなわち患者のADL,QOLを向上させることを治療の目標とするべきである