臨床痛み学テキスト 3

第8章 痛みの治療におけるすべての医療スタッフに通じる基本理念

  • 患者は自分の痛みについて正しく理解していれば痛みとうまくつきあっていけるが、痛みへの理解が不十分だと痛みにうまく対処できないことが懸念される。
  • 他にあきらかな原因がないから、心因性疼痛と診断を下すのは論理的に正しくない
  • 心理的要因と身体的要因が相互に影響し合って痛みが長引くのである。これを理解することは患者にとって有益である。またメンタルコントロールにより痛みの感じ方を変化させ、痛みをコントロールできるようになるのも、患者に取って有益である。
  • 初期の治療目的は大きく分けて、痛みの軽減が身体機能の改善かいずれかである。
  • 治療によって身体機能が改善されてくると、患者の痛みの受け止め方が変わる
  • 認知行動療法を行うと、ストレスが軽減され気分がよくなり、痛みは軽くなる。認知行動療法で痛みから注意をそらすことができ、患者は集中して身の回りのことや仕事ができる。痛みは軽減していないが、患者は痛みを自分でコントロールできるという自身にもつながる。このように身体機能の改善は認知行動療法が第一に目指すものである。
  • 認知行動療法は痛みの受け止め方をかえるのに役立ち、痛みを自分でなんとかできる方法をみつけられるようになる。
  • 心理療法は痛みの受容方法、コーピング(対処法)、痛み行動に焦点をあてる。
  • 認知行動療法が有効だからといって、痛みの原因が心理的なものとは限らない
  • 賠償問題や訴訟など疾病利得に関係のある患者の場合には要注意である。