牛田 享宏 難治性疼痛を理解するための最新基礎知識 臨床編 医学のあゆみ 2007;223(9):794-797

  • 失感情症 alexithymia
    • 自己の感情の認知や表出が困難であるため、痛みなどに身体化されることで、感情表出困難のはけ口を求める心理的特徴をもつ。
    • その特徴として1自分の感情や葛藤状態を言語化できず、情動の体験と表現が制限されている。2想像力や空想力の乏しいこと、一方で事実関係をくどくどとのべるが、それに感情の表現が伴わない。3対人関係は一般に貧困で機械的な対応が多く、免札者とのコミュニケーションも困難であるが、一般には社会適応はよすぎるくらいよくて、むしろ過剰適応の傾向にすらあるひとが多い。4失感情症傾向が強い心身症患者に多く、慢性疼痛の難治化にかかわっている
  • 疼痛行動 pain behavior
    • 痛みを有する患者は自身が、完全に痛みがとれないという完全主義的な認識や痛いのは原疾患がどんどん増悪しているからだという極端な思い込みや先入観をもつことで痛みへの不安やおそれが生じ、患肢などを動かすことを回避するようになる。あるいは痛みの存在を周囲のひとにつげるためにあらゆる行動をとる
    • 痛み行動によって快適な報酬となる周囲の注意や関心、同情などが強化因子として働き、痛み行動の出現頻度を増加させると考えられている
  • 認知行動療法
    • 認知行動療法では患者の抱える問題を、行動面、認知面、環境面、身体面の観点から構造的に理解し、それぞれの面について対応することを教育訓練する
      • 行動面 distraction 痛み以外の刺激に注意をむける
      • 認知面 破局的思考をやめる
      • 感情面 痛みに関連した不安や恐怖は回避行動を誘発するが、それが持続すると恐怖も持続し、日常生活に支障をきたし、能力障害が引き起こされる
      • 環境面 家族のサポート 家族の心配が強化因子になっていないか?