2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

中井吉英、水野泰行、阿部哲也 システム論的な見方による難治性疼痛の予防と治療 医学のあゆみ 2007;223(9):784-789

糖尿病や慢性疼痛は社会的環境的要因も含める多要因が関連しあった病態を呈しているため、システム論的モデル、つまりbio-psycho-social medical modelに基づく多因子の関係性に視点をおいた研究や治療によらないと、病態の解明や有効な治療を行うことができ…

牛田 享宏 難治性疼痛を理解するための最新基礎知識 臨床編 医学のあゆみ 2007;223(9):794-797

失感情症 alexithymia 自己の感情の認知や表出が困難であるため、痛みなどに身体化されることで、感情表出困難のはけ口を求める心理的特徴をもつ。 その特徴として1自分の感情や葛藤状態を言語化できず、情動の体験と表現が制限されている。2想像力や空想…

医学のあゆみ 223;(9) 特集 難治性疼痛と闘う 3

福井弥己郎、岩下成人 MRスペクトロスコピーによる慢性疼痛患者の評価 医学のあゆみ 2007;223(9):773-777 MRスペクトロスコピー (magnetic resonance spectroscopy) MRIを用いて形態学的に困難な代謝物質を非侵襲的に測定する方法 NAA(Nアスパラギン酸)は神…

柿木隆介 痛みは脳でどのようにして認知されるか 医学のあゆみ 2007;223(9):717-722

脳波 細胞が活動するときに電気が流れ、その注意に磁気が生じる。電気活動を記録するのが脳波で、磁気活動を記録するのは脳磁図 脳内の電気活動は脳脊髄液、頭蓋骨、頭皮という伝導率が大きくことなる三つの層を通過するためかなりのひずみが生じてしまい、…

医学のあゆみ 223;(9) 特集 難治性疼痛と闘う1

医学のあゆみ 223;(9)は特集 難治性疼痛と闘う吉村恵 慢性疼痛と神経栄養因子 医学のあゆみ 2007;223(9):687-691 難治性疼痛の発生機序 末梢による感覚受容器の感作 末梢自由神経終末に発現している受容体の変化 テトドロトキシン感受性Na+チャンネルの発現…

熊澤孝朗 痛みの病態生理学 第1回 痛みについて序論 理学療法 2007;24(11):1485-1490

痛みの理学療法学といったものは未だに確立されていないと思っており、これから理学療法士自身が自らの体験をもとにして、最近の痛みに関する研究成果を踏まえて独自の学問を作り上げていくべきものであると考えている。 「ペインー臨床痛み学テキスト」2008…

理学療法 2007;24(11) 痛みの病態生理学

雑誌「理学療法」で愛知医大痛み学寄付講座の熊澤氏により痛みの病態生理学という連載(2007/11-)が始まった。medical onlineでは第2回まで手に入る。

町田英世、工藤卓、吉川悟、中井吉英 外在化技法を用いた慢性疼痛の治療 心身医 2000;40(2):136-141

複雑化していても疼痛行動の最も影響を及ぼし得るのは、必然的に関わることの多い家族や治療者であろう 問題の外在化 ゲートコントロールの模式図から、ゲートのtermをつかって問題の外在化をおこなう 何度検査しても患者の痛みの原因が特定できないために、…

本田哲三、丸田俊彦 慢性疼痛の治療 精神科治療学 2000;15(3):289-296

Fordyce WE 疼痛の体験をめぐる随意行動を疼痛行動とよび、慢性疼痛患者での治療の対象となるのは疼痛行動であると考えた。 目標 痛いから何もできないという患者の否定的な認知思い込みを、痛いけどやるべきことはやれるし、生活も楽しめるといった建設的態…

町田英世、中井吉英 慢性疼痛の治療 精神科治療学 2000;15(3):281-287

主観的な疼痛という体験は身体的病因のみで語れるはずもなく、心理社会的要因の考慮もなされるようになってきた。慢性疼痛は後者の比重が増している病態といえ、個別な病因で割り切れるものではないために、心理療法という枠だけで疼痛を語ると全体的な病態…

精神科治療学 2000;15(3):371-376 1

宮岡等、鈴木志麻子 慢性疼痛はどう診断されてきたか 精神科治療学 2000;15(3):243-250 痛みというのは患者の言葉を通してしか評価し得ない症状である,患者の言葉によって評価するしかない Mersky 痛み 組織病変と一次的に関係づけられるか、組織病変の観点…

中井吉英、町田英世、阿部哲也 心と痛み 整形外科 2007;51(8):893-896

過敏性腸症候群はかつては大腸神経症と呼ばれたこともあった。しかし現在は機能性腸症候群の代表的疾患として世界的に認知されている 疼痛に対する米国精神医学会の診断基準の変遷 DSM-III 心因性疼痛障害 psychogenic pain disorder 心理的要因が病因に関与…

雑誌 整形外科 2007;51(8)

杉浦康夫 痛みと解剖学 整形外科 2007;51(8):871-878 皮膚における感覚神経 1 C線維 無髄 細い 伝導速度遅 -酸アルカリに反応する化学受容器、温冷刺激に応ずる温度受容器、弱い機械的刺激に応ずる低閾値機械受容器、寒冷刺激によりアロディニアをおこすcold…

笠井裕一、内田淳正 慢性腰痛に対する薬物療法 MB Orthop 2007;20(2):39-44

慢性腰痛は治療に難渋する疾患の一つ、NSAIDは有効でない 抗不安薬 投与1週間でなんらかの効果が得られることが多い 抗うつ薬 鎮痛効果 内因性鎮痛系である下行性抑制系の増強 うつ状態の改善による二次的な疼痛軽減効果 注意 抗うつ薬であるが鎮痛に使用と…

熊澤孝朗 慢性腰痛では何がおこっているか?そしてどう取り組むべきか? MB Orthop 2007;20(2):1-8

痛みには、組織障害の症状としての痛み以外に、組織の損傷が治癒した後にも神経系の可塑性によって生まれる痛み、つまり慢性痛症の存在が明らかになったことがそれまでの痛み概念に変革を起こした。 慢性痛症 痛み系にうまれた可塑性な歪みによって生じた新…

下荒神武、阿部哲也、町田英世、中井吉英 心療内科からみた慢性疼痛 関節外科2001;20(4):140-144

心療内科で紹介の多い患者は、消火管機能異常、次が慢性疼痛 心療内科は内科であるが、身体と心を分けず全人的医療を実践する科である 心療内科では慢性疼痛を従来の自然科学的な医学医療モデル、つなわち原因→結果の一元的モデルで考えるには無理があり、痛…

整形外科疾患における慢性疼痛の病態と対策 関節外科2001;20(4) 2

芹沢健 慢性疼痛患者に対する精神医学的アプローチ 関節外科2001;20(4):133-139 従来慢性疼痛は器質性が心因性かという二分法が暗黙の基準のうちにあったが、慢性疼痛は心身相関による身体的、心理的、社会的な問題を含む複合的な疾患概念となった。 慢性疼…

都丸哲也、本田哲三 慢性疼痛患者に対するリハビリテーション 関節外科2001;20(4):110-118

疼痛には情動的あるいは社会的な、いわば苦痛sufferingともいえる側面があり、慢性疼痛ではこの比重が大きくなる 疼痛の2つ受容器 高閾値機械受容器 生体組織を損傷する可能性を有する侵害刺激にのみ反応 polymodal受容器 機械的刺激以外に熱や化学刺激にも…

牛田亨宏、谷俊一、川崎元敬、山本博司 脊髄神経可塑性と慢性疼痛 関節外科2001;20(4):17-26

坐骨神経切断が脊髄後角部に起こす形態学的変化 切断後Aα/β線維の終末がII層までにのびている 猿の腰神経を2週間にわたって絞扼すると、脊髄視床路ニューロンのうち侵害刺激にも非侵害刺激にも反応する広域作動性ニューロンが増加 逆に侵害刺激に特異的に…

熊沢孝朗 慢性痛の神経生理学的メカニズム 関節外科2001;20(4):7-14

痛み 不快な感覚性情動性の体験であり、それには組織損傷をともなうものと、そのような損傷があるように表現されるものがある 痛覚受容器 おおきく2つ ポリモーダル受容器 時間的空間的に識別性のはっきりしない、ズーンとした痛み 機械的、化学的、および…

整形外科疾患における慢性疼痛の病態と対策 関節外科2001;20(4) 1

石井清一 introduction関節外科2001;20(4):5-6 痛みとは永久に個人的な体験である どのような治療をおこなっても、その効果を医者と患者が信じている限りは、疼痛は1/3の患者で軽減する 痛み行動の強化にもっとも関与している要因を的確に見定めることが大切…

MB Med Reha 2002;23 慢性疼痛のリハビリテーション 2

加藤実 慢性疼痛への各種アプローチ 1.薬物療法 MB Med Reha 2002;23:46-47 末梢神経症状が生じると 末梢レベルでperipheral sensitization 脊髄レベルでcentral sensitization 下行抑制系の減少 さらに上位中枢でdisinhibitionという病態が個々にあるいは重…

本田哲三 慢性疼痛のリハビリテーション 2.リハビリテーション医 MB Med Reha 2002;23:15-18

評価時期 「このように痛みが持続する原因について、なにか心当たりがあればお知らせ下さい」 PT 1時間かけて自宅から当院まで週一回通院が可能となる体力の回復 OT 日常生活動作の自立および趣味の獲得 リハ医師の講義 現代の医療では、すべての痛みが医療…

横田敏勝 慢性疼痛の生理 MB Med Reha 2002;23:1-9

RA まだ特定されていない抗原に対する免疫反応 RAの初期の痛みは主として好中球、慢性期の痛みはマクロファージの反応によって起こる 慢性疼痛の機序 Bonica 1989 末梢機序:慢性の病変が組織あるいは末梢神経終末部に限局しているもの 末梢中枢機序:最初の損…

久保千春、細井昌子 慢性疼痛とうつ ストレスと臨床 2006;26:32-37

慢性疼痛は組織損傷を知らせる警告信号としての役割が消失しており、疼痛を訴える行動(疼痛行動)が患者の周囲の重要な人物との交流パターンに組み入れられていることが多い うつ病はバックグラウンドの無意識的、否定的気分や意識的悲観的な思考パターンに…

ストレスと臨床2

金 外淑 慢性疼痛に対する認知療法 ストレスと臨床 2005;24:38-41 慢性疼痛患者の心理的特性と疼痛行動 身体の痛みから、極端に体を動かすことを避ける傾向 痛みという症状の背後にある心理的特性をよく理解し、症状がどのような問題から起きているかを明確…