• 糖尿病や慢性疼痛は社会的環境的要因も含める多要因が関連しあった病態を呈しているため、システム論的モデル、つまりbio-psycho-social medical modelに基づく多因子の関係性に視点をおいた研究や治療によらないと、病態の解明や有効な治療を行うことができない
  • 難治性疼痛を予防できないか
    • fear-avoidance model
      • 人は痛みを感じると何らかの深刻な障害の徴候と感じる。そのため不安を抱く。不安に対し対峙するか逃避するかの2つの反応の仕方がある。逃避すると不安は維持され次第に増強する。その結果身体への注意集中や過度のとらわれが形成される。並行して痛みを増強させる可能性のある行動を控えようとする(疼痛行動)これらの反応や行動は、身体能力の低下と障害、疼痛の増強、抑うつ気分の出現につながる。不安と回避の悪循環のなかで痛みが持続される。この理論がfear-avoidance model
  • 不安と難治化
    • Picavet 痛みへの悲観的な感情や身体を動かすことへの不安が6ヶ月後の腰痛の程度や障害の予測因子と成る
    • Pincus 腰背部痛の慢性化に関与する心理的要因として心理的苦悩、抑うつ気分、身体化を挙げている
    • George 患者の心理状態を把握していなければ有効な治療プログラムを選択できない
  • Catastrophizing(破局的思考)と難治化
    • Buenaver catastrophizingは周囲の患者への懲罰的反応となり、抑うつ症状や疼痛により惹起された障害の増悪に影響を及ぼす
  • システム論をベースにした治療
    • 疼痛=何らかの組織ダメージといった線形のbiomedical modelの見方では難治性疼痛の治療は困難。
    • 心因性などの言葉が患者に怠けているといったレッテルを貼ってしまい、家族や職場のサポートを得られなくなっている症例が多い
    • このような際に機能的という言葉を用いることにより、患者も家族も理解できかん形成が維持される
    • 器質的要因と機能的要因が重複し、むしろ機能的要因が疼痛主要因である症例が多い
    • 難治性疼痛では疼痛閾値の低下している症例が多い
    • 難治性疼痛は40代と70代にピーク
    • 難治性疼痛患者の多くが医師への不安感や怒りの感情が内包されて、しかも表面に現れていない
    • 認知を修正していく中で行動変容が生じる
    • 家族とのこじれた関係性が疼痛行動や難治化に関わっている場合にはシステムズアプローチを治療に加える
  • 治療の要点
    • 心身両面を別個に扱うのでなく、その相互作用を重視する心身医学に基づいた臨床であること
    • Biopsychosocial modelに基づいた、患者の独自性を尊重するtailor madeな治療であること
    • 治療関係が及ぼす影響を重視し利用した相互作用にもとづく治療であること
    • 患者の意向と能動性を尊重した患者中心の治療であること