- 慢性疼痛は組織損傷を知らせる警告信号としての役割が消失しており、疼痛を訴える行動(疼痛行動)が患者の周囲の重要な人物との交流パターンに組み入れられていることが多い
- うつ病はバックグラウンドの無意識的、否定的気分や意識的悲観的な思考パターンに特徴づけられる気分障害であり、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質によって媒介されるシナプス伝達に乱れが生じている結果である
- 痛みの主要な伝導路として重要視されている脊髄視床路のうち、脊髄の前外側索を上行する線維は脳幹で内側系と外側系に分かれる
- 外側系が視床に後外側腹側核に入り、大脳皮質の体性感覚野に届いて痛みに識別的側面を担っている
- 内側系は視床の髄板内核に入り、大脳皮質の広い領域に投射して局在のはっきりしない不快な痛み経験の部分を担っている。内側系は痛みの情動的側面に関与していることが示唆されている
- 痛いという情報は、どこがどのくらいの強さでどのようなパターンで存在するのかという情報と、生存に影響を与えうる危険な状態になったいることを漠然としらせる情報が混在したもの
- 痛み情動的認識 内側脊髄視床路
- 痛みの識別的認識 外側脊髄視床路
- Stahl うつ状態を 1. traditional depression 2 apathetic depression 3 painful depressionの三つに分類
- 情動ストレスは前頭前野、扁桃体などを介して脳幹から脊髄後角にかけて痛覚の修飾系に働きかけている
- 痛みの多面的理解
- 患者の痛み体験に影響を与えている痛み以外の問題点を把握することが可能となる
- 慢性疼痛の診断治療が生物医学モデルにとどまることなく、生物心理社会モデルでの患者理解、人間理解として一般医療にさらに広まることを、今後も心身医学分野から語りかけたい