下荒神武、阿部哲也、町田英世、中井吉英 心療内科からみた慢性疼痛 関節外科2001;20(4):140-144

  • 心療内科で紹介の多い患者は、消火管機能異常、次が慢性疼痛
  • 心療内科は内科であるが、身体と心を分けず全人的医療を実践する科である
  • 心療内科では慢性疼痛を従来の自然科学的な医学医療モデル、つなわち原因→結果の一元的モデルで考えるには無理があり、痛みの原因は神経の異常といった単純な説明では解決できないのである。慢性疼痛は、身体面、心理面、行動面、社会面の障害であり、こういった様々な要因が相互間に影響して、悪循環している状態と考えられる。
  • 慢性疼痛では疼痛そのものの原因とともに、疼痛に伴う苦痛(情緒反応)や疼痛を訴えることで周囲の関心を引いたり、責任を回避するといった疼痛行動の理解が重要である。
  • 痛みはコミュニケーションの手段となっている場合がある
  • 直線的思考より円環的思考で考える方がより病態を理解し易い
  • 疼痛行動の分析
  • 慢性疼痛患者は心理的葛藤を言語化できずに痛みによって表現する傾向があるため、身体面、行動面からのアプローチが有効
  • 慢性疼痛ではいたみそのものより、鎮痛剤を頻回に要求するなどの疼痛行動を改善することが目標になる
  • 家族関係が痛みの維持にかかわっている症例がある

慢性疼痛を伴う脊椎疾患に対するリエゾン精神医学的アプローチ 関節外科2001;20(4):145-151

  • 精神医学的問題を合併している症例に対しては、身体症状を説明可能な画像上の異常所見があるからといって安易に手術療法を選択すべきではないということを示唆