2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

熊澤孝朗、山口佳子 慢性痛症の取り扱い ストレスと臨床 2005;24:34-37

長期期間持続的に痛覚系が働いた場合などに、原因病巣が治癒しているにもかかわらず痛みを発し続けることがある。これは、神経系に出来上がってしまった可塑的な歪みによって引き起こされる痛みであり、痛覚受容器の興奮とは関係なくおこる。 神経系の可塑的…

谷川浩隆 腰痛症にみる筋骨格系の慢性疼痛 ストレスと臨床 2005;24:12-15

機能性身体化症候群 functional somatic syndrome 線維筋痛症や過敏性腸症候群など明らかな器質的異常がないにもかかわらず日常生活に著しい機能障害をきたす症候群 腰痛症もこれに含めている教科書もある painful depression 痛むうつ うつや焦燥感などの気…

ストレスと臨床 1

村上正人、松野俊夫 慢性疼痛 ストレスと臨床 2002;12:25-29 国際疼痛学会の痛みの定義 組織の実質的あるいは潜在的な障害に結びつくか、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚や情動体験 痛みには感覚としての痛みと感情としての痛みという…

JBJS 2008;90B:280

Grilym SE, Pollard TCB, Carr AJ Understanding pain in osteoarthritis. J Bone Joint Surg 2008;90B:280-287 OAによる痛みのジレンマ OA患者のすべてに痛みがない placebo surgeryで痛みがひく 人工関節置換をしても10%痛みが残る 人工関節置換術後も10%…

横田敏勝、小山なつ 痛みはどうして起こるか 臨床と研究 1998;75(7):1462-1461

侵害受容性疼痛 末梢の侵害受容器が刺激されるとおこる 神経因性疼痛 痛みを伝える末梢あるいは中枢神経系の機能異常によっておこる 心因性疼痛 身体のどこにも異常が見いだされないのにおこる痛み 皮膚の侵害受容器 有髄のA線維のなかで一番細いAδ線維 強い…

治療 2003;85(7)プライマリケアのための痛みの見方

表圭一、並木昭義 高齢者の痛みの特徴とその対策 臨床と研究 1998;75(7):1551-1555 高齢者の疼痛を増強する要因 社会的孤立感、孤独感、不安、環境への不適合、抑うつ、家庭内における患者の役割 家庭内での仕事や役割がない状態では痛みに対する気持ちの集…

笠井裕一、竹上謙次、内田淳正 患者の性格と術後疼痛 整形外科 2002;53(4):469-472

急性疼痛は生体防御のための警告信号としての意味合いが強いが、一方慢性疼痛は患者の固有の心理的社会的なものによって影響される 腰椎椎間板ヘルニア手術例で、術後疼痛が持続し易い患者は、内向的で神経症的傾向がみられた Maudsley性格テスト 笠井裕一、…

笠井他

治療 2003;85(7)プライマリケアのための痛みの見方山崎光章、畠山登 器質的な病態が固定しているのに痛みを執拗に訴える患者(慢性の痛み症候群)治療 2003;85(7):2147-2151 慢性の痛み症候群とは、心因性の要因が主因となり、痛みを生ずると考えられる器質…

4/1 追記 あきらめきれずvmware fusionでできないか模索vmfusion fusion +xp +親指ぴゅんについては下記参照 http://blog.goo.ne.jp/hideto_g/e/5b7d6dfa7c363c6e948fe93f54add5431)macでは変換無変換がない。 mac 英数 win caps lock mac カナ/かな win カ…

脊椎脊髄 2006;19(10) 器質性疾患と心因性疾患の鑑別診断

佐藤甫夫 ヒステリー概念の変遷 脊椎脊髄 2006;19(10):1028-1035 ヒステリーは患者自身が気づいていない動機(心因)によって、意識障害(意識野の制限)あるいは運動機能、知覚機能の障害が引き起こされるもので、これらの障害は患者にとって心理的に有用な…

脊椎脊髄ジャーナル 2006;19(9) 脊髄と疼痛

吉村恵、古江秀昌 脊髄後角ニューロンの可塑性と慢性疼痛 脊椎脊髄 2006;19(9):-912-920 脊髄の後角 I-VI層 I層 辺縁細胞と呼ばれる投射ニューロンが存在、上位中枢に修飾、統合された痛みの感覚を送る。痛み特異ニューロン II層 膠様質 小型の細胞が密に存…

笠井裕一、松村好博、明田浩司、施徳全、若林弘樹、内田淳正 整形外科疾患の患者における慢性疼痛 臨整外 2007;42(6):519-522

慢性疼痛の患者では、「痛みのある自分」としての自己像が出来上がり、さらに疼痛を自分で治そうとする力(自己治癒力)が働きにくい状態であることが多い 慢性疼痛患者の分類 自己治癒力希少型 内向的で神経症的傾向が高い 小目標をあたえて、できたらほめ…

牛田享宏、池本竜則、篠崎淳、田中茂樹、谷口慎一郎 運動器の痛みと脳の反応 臨整外 2007;42(6):511-517

最終的に脳で痛みを感じる fMRI 皮内痛群 両側の頭頂葉下部(BA40)を中心に、両側の補足運動野(SMA;BA6)、頭頂葉上部(BA5/7)、刺激反対側のSI,刺激同側のSII,後帯状回復域に優位な活動がみられた 筋痛群 主に刺激反対側の島領域後方において優位な活動がみら…

西山順慈、田中努、松原英俊、三ツ波健一、中井吉英 心因性腰下肢痛の治療 骨関節靭帯 2005;18(10):909-914

心身医学では心因性という言葉を使用しない 慢性腰痛 有益とされるのは、自分で動く、動かすとそれをサポートする環境 医療面接 症状について何か心当たりはありますか 症状について何か心配されていることはありますか 症状に対して、何か希望される(また…

笠井裕一、岡本弘史、内田淳正 心因性疼痛を有する患者に対する整形外科的アプローチ 骨関節靭帯 2005;18(10):873-876

心因性疼痛を有する患者の特徴 時間を守らない、潔癖性、逃避癖、演技的、経済的問題、治療に対して非協力的 外来 まず患者の痛みに共感し、悪性の病気でないことを保証しつつ、信頼関係を構築することが重要 疾患や治療に関する間違った思い込みをもってい…

水野泰行、中井吉英 心理的要因の関与する疼痛の病態および診断 治療学 2005;39(8):831-834

痛みを、体温、血圧、心拍、呼吸数と同様に第5のバイタルサイン 慢性疼痛 器質的機能的要因と心理社会的要因の両方が関与 治療初期でのきめつけは厳に慎むべき 身体の疼痛を訴える患者にたいして、身体の診療を念入りに行うことは、患者の訴えを受容し共感…

治療学 特集 慢性疼痛とはなにか

宮崎東洋 慢性疼痛とは何か 治療学 2005;39(8):785-787 IASP 国際疼痛学会の痛みの定義 an unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms such damage 実際に組織損傷がおこった…

PTジャーナル 2008;42(2) 特集痛みの病態生理と理学療法

辻下守弘、永田昌美、甲田宗、鶴見隆正、川村博文 疼痛を有する対象者の包括的理学療法 PTジャーナル 2008;42(2):113-121 慢性痛は、疼痛の症状が長期化するため、身体だけでなく不安や苦悩など精神面に対しても影響を及ぼし、対象者のQOLを著しく低下させる…

熊澤孝朗 慢性痛症のメカニズム PTジャーナル 2008;42(2):87-94

痛みはヒトにおいて言葉で訴える感覚である ギリシャ医学 痛みは心臓に宿る不快な情動 by アリストテレス 同じ時代にピタゴラスらは、痛みは脳で知覚される感覚であると考えた 痛みは感覚か情動かが論点である時代が続いた 1960年代後半 Perl 皮膚への針刺し…

 学問等を自国語で学ぶことができるのは、実は希有であるそうだ。ある程度の人口、歴史がないとこのような環境は起こり得ない。医学的な情報を日本語で得られることを幸せに思う。

国外の状況はあまり知らないが、日本には商業雑誌と呼ばれる医学雑誌が各分野でかなり出版されている。雑誌によっては特定のテーマで特集が組まれており、それを通読することでその分野の知識を手軽に得ることができる。ただし、商業雑誌はかならずしもpeer …

p119 三木健司、行岡正雄 慢性疼痛、線維筋痛症の治療戦略

慢性疼痛は痛みを感じる末梢の受容器レベルや疼痛の伝達レベルや大脳での認知レベルなどあらゆるレベルでの異常からその疼痛が発生していると考えられるが、現時点で治療に関してわれわれがもっとも利用しているのはいわゆる下行性抑制系である。 関節炎の痛…

p93 牛田享宏 慢性疼痛の基礎的検証

整形外科領域における痛みの概念 元来原因となっている局所所見(神経圧迫、骨折、関節の変形などの器質的要因)の問題が小さくなったり、無くなっているにも関わらず痛みが続く状態 慢性神経因性疼痛(CRPS,脊髄損傷後の痛み)、廃用症候群,failed back syn…

慢性痛はどこまで解明されたか―臨床・基礎医学から痛みへのアプローチ作者: 菅原努,中井吉英出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2005/04メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (6件) を見る菅原努監修 慢性疼痛はどこまで解明されたか 昭和堂 20…

慢性疼痛はどこまで解明されたか3

菅原努監修 慢性疼痛はどこまで解明されたか 昭和堂 2005 ISBN:4812205085p73 仙波恵美子 痛みのメカニズムの解明 慢性痛 組織の傷や炎症が治癒したにもかかわらず持続する痛みや、あるいは容易に治癒することが望めない神経の損傷による痛みなど、もはや生…