熊澤孝朗、山口佳子 慢性痛症の取り扱い ストレスと臨床 2005;24:34-37

  • 長期期間持続的に痛覚系が働いた場合などに、原因病巣が治癒しているにもかかわらず痛みを発し続けることがある。これは、神経系に出来上がってしまった可塑的な歪みによって引き起こされる痛みであり、痛覚受容器の興奮とは関係なくおこる。
  • 神経系の可塑的変容の結果であるものを慢性痛症とした
  • 神経回路の混線状態から発せられる痛みをもつ慢性痛症では、痛覚受容器からの入力を泊めるブロック法やオピオイドによる鎮痛効果は当然ながら期待できない。
  • 慢性痛症治療プログラム
    • 体を動かすことに重きがおかれる
    • ゴールは具体的なこと、つまり何ができるようになるかということで設定
    • 慢性痛症患者は、一人一人が多様な背景をもち、多様な病態を呈し、その背景にあるものは複雑で、長く痛みに苛まれているうちに二次的にも三次的にも不具合が生じている。家族関係などの人間関係にも複雑さが及んでいる場合が多い。このような個人の持つ複雑さを解きほぐし、痛みの中に人生があるという状態から、痛みを人生の中のある一部とさせ、社会復帰させるのが学際的痛みセンターの目的である