笠井他

治療 2003;85(7)プライマリケアのための痛みの見方

山崎光章、畠山登 器質的な病態が固定しているのに痛みを執拗に訴える患者(慢性の痛み症候群)治療 2003;85(7):2147-2151

  • 慢性の痛み症候群とは、心因性の要因が主因となり、痛みを生ずると考えられる器質的な病態が固定している(現在の医療レベルでは痛みを生ずる原因がわからない)のに、患者は痛みを感じ、訴え続ける状態
  • 執拗に器質的な病変を見つけるよう医師に要求したり、その目的を果たすために転医を繰り返す
  • 対応
    • 最初は患者の痛みに共感し、身体的診察検査を行い悪性の病気でないことを保証しつつ信頼関係を得るように努める。次にこれまで指向してきた治療を急に中止せず継続し、患者が理解できる範囲で現在の痛みについて十分に説明する。その後痛み治療の目標を掲げ、患者には1)この痛みは心因性の要因がおおきな原因となっている。2)今後も痛みが持続すること3)痛みを受容してこのまま生き続けることについて教育指導する。
  • 慢性の痛み症候群と幼少期の虐待、あるいは女性において性的虐待の関与が指摘されている
  • 慢性の痛み症候群では、心因性の原因が痛みの主体となっているが、もともと器質的な変化をもっていることや、慢性痛があるが故に身体を動かさなくなり二次的に筋筋膜性疼痛が生じていることが考えられる
  • 当初は身体的治療と心理的治療の両者をあわせておこなう。家族的、経済的、社会的な問題を患者が納得する形ですみやかに解決するようにアドバイス