• 痛みを、体温、血圧、心拍、呼吸数と同様に第5のバイタルサイン
  • 慢性疼痛 器質的機能的要因と心理社会的要因の両方が関与
  • 治療初期でのきめつけは厳に慎むべき
  • 身体の疼痛を訴える患者にたいして、身体の診療を念入りに行うことは、患者の訴えを受容し共感を示す手段としても重要で、それ自体、治療的効果を意識して行われる
  • 痛みに対する患者や周囲の人をも巻き込んだ対処行動が、結果として症状を持続させるという悪循環に陥っている患者が非常に多い
  • 発症の前後や症状の変化に伴って、患者を取り巻く状況がどのように変化したかを詳しく聞き取ることが重要
  • この際、疼痛がどのように役立っているか、疾病利得の観点から病態を考えると理解しやすい
  • 患者自身が利得をこうむっていなくとも、疼痛の存在によって家族関係が安定している場合もある
  • いったんは患者の思いをうけいれて、信頼関係をきづくことを優先すべき
  • 慢性疼痛患者には、不満や怒りなどの感情を抑圧するタイプの人が多く見られ、こくいった感情が起こるようなストレス状況で疼痛が増強することがしばしば観察される
  • アレキシサイミア alexithymia 自分の感情に気づくことができず、それを他人に伝達することが困難で、思考や関心の対象が自分の内面でなく、外的なことばかりにむくというもの
  • こういった感情では無意識の葛藤が身体症状として表出されやすい

土井永史、鮫島達夫、臼井千恵、米良仁志、諏訪浩 電気痙攣療法 治療学 2005;39(8):854-860

  • 電気痙攣療法 ECT electroconvulsive therapy 求心路遮断性疼痛に対して選択的鎮痛効果をもつ
  • Loeser
    • 痛みは、侵害受容、痛み知覚、苦悩、痛み行動の4層構造を持つ
    • 痛み知覚が惹き起こした驚愕不安恐怖などの陰性感情が苦悩である
    • そして苦悩が惹き起こすさまざま言語的、非言語的表現、および痛みを回避するための行動を痛み行動とよぶ
    • 痛みが長期間にわたって続く慢性疼痛では、ADL低下などに伴って苦悩が重症化し複雑化する
    • 痛み行動もrespondent pain behaviorからoperant pain behaviorに変容