- 慢性疼痛に関与する要因は、器質的、機能的、心理社会的、行動的である。これらの要因の関係性は個別性である。したがって疼痛のみに焦点をあてず、疼痛をもった患者に焦点をあてる医療、すなわち全人的医療と、各要因に関する専門家とのチーム医療および患者自身のセルフコントロールの能力を引き出す治療が必要である
- 心身相関の気づきを促す
- 患者自身が治療の主役であるというセルフケアの考え方を自覚してもらうことが治療の一歩である
- 痛みのすべてが身体的器質的な原因に由来し、痛みを取るのは医師の役割であり患者の役割でないと行った誤った認知を修正していく
#4 堀内行雄,木原未知也 交通外傷後の遷延性疼痛 痛みと臨床 2001;1(3):271-278
#5 波多野三佳 痛みへの一般心理療法的アプローチ 痛みと臨床 2001;1(3):295-299
#6 小林要二、狩野力八郎 力動精神医学精神分析的アプローチ 痛みと臨床2001;1(3):300-305
- 英語のpainとは、痛みの他にひとをうんざりさせるという意味がある
- 痛みを訴える患者へのアプローチ
- 痛みはまさに患者にとって痛いものとして理解すること
- 患者を受診に至らしめるストーリーを把握すること。つまり痛みを固定化している患者固有のストーリーを理解すること
- 自分のもっている治療手段で治せるかを判断すること
- 体への自信の回復をはかること。つまり痛いから動かないから、動かないから体力が低下するー自信がなくなるという悪循環を断つこと
- 痛みへの態度や自己イメージの変化をはかること。つまり痛みについて現在の医学での合理的な理解や限界をしることや、痛みに向かっていた関心を他に向けられるようにすること
- 治療アプローチを通じて、主観的なストーリーを作り替えること
- 痛みには対象喪失や怒り、家族力動や患者固有の発達上の課題などが複雑に関係する
- 痛みという知覚は主観的な体験であり、その体験をどのように表現するかは、周囲の相互作用によってきまる
- 痛みの治療では、器質因を重視するとともに、患者の個人的な痛みを巡る体験を尊重し、治療関係のありようを検討する必要がある