関口敦 脳画像研究で検証する中枢神経感作病態 心身医 2021;61:165-171
- 心身症患者では、体性感覚や内受容感覚など末梢からの刺激に対する中枢系の過剰反応が中枢神経感作病態として評価されていると考えられる
- 近年、ストレス関連疾患の身体症状の認知科学的な拝啓として、内受容感覚(introception)が注目されている
- 内受容感覚とは、呼吸・心拍・腸管の動きなど身体内部の生理的な状態に対する感覚のことであり、ホメオスタシスの維持に必要な機能と考えられている
- 内受容感覚は、脳科学や心理学の分野でも広く研究されており、内受容感覚の信号は脳の島皮質に集約され、扁桃体への投射を通じてさまざまな情動体験の首座を担うとされている
- 内受容感覚障害(introceptive dysfunction)はさまざまなストレス関連疾患(うつ病、不安障害、身体症状症、摂食障害など)で認められており、健常レベルでも不安や身体症状との関連性も指摘されている。われわれは、中枢神経感作病態の構成概念の一つとして内受容感覚に注目している
- 内受容感覚に敏感 心身症
- 内受容感覚に鈍感 本来感知すべき身体症状(疲労感、低血糖、空腹感など)を適切な対処行動に結び付けられない 結果として慢性ストレス負荷が蓄積
- 内受容感覚に対して過敏であると考えられる、過敏性腸症候群に対して、内受容感覚暴露療法を実施し、症状改善と内受容感覚の過敏さの改善が関連することを検証する