2009-05-01 柴田政彦 精神科的アプローチ EBM ジャーナル 2005;6(4):462-466 柴田政彦 慢性疼痛の多くは器質的原因に心理的要因が付加して病態を長期化し複雑化していることがほとんどである。痛みが身体的なものか心理的なものか2者択一的に評価することは事実上不可能である。 心理的アプローチは必ずしも心因性の痛みに対してのみ行う治療法ではない。 慢性疼痛の緩和においては、TCAが有効性を証明された報告の最も多い薬物である。 TCA 少量から開始し、口渇やふらつき、倦怠感、眠気、動機などの副作用を観察しながら徐々に投与量を増やすことが望ましい。 慢性疼痛に対する認知行動療法 認知行動療法は、医療費削減に寄与しており、腰痛を費用のかかる手術で治療するのではなく、教育とリハビリテーションによって社会復帰させることを目標としている。 腰痛においては心理的アプローチと身体的理学療法を組み合わせた方が、身体的アプローチのみよりも機能、自己効力感、医療費抑制の点で優れているとしている。 我が国では国民一人当たりの痛み治療にかかる医療費は極端に少なくモルヒネ、頭痛薬のマーケットは欧米の数分の一である。したがって、認知行動療法の必要性が高くないのかもしれない。