富永敏行 身体症状症の診断と進歩 精神医学 2020;62(12):1565-1577
- 紀元前20世紀 エジプトのパピルスにヒステリーと思われる描像
- 紀元前4世紀 Hippocratesのアフォリズムの35番目にヒステリー
- Max Leidesdorf (1819-1889) ヒポコンドリーとメランコリーの違い
- ヒポコンドリーの患者は医学的助言と援助を探しもとめ、絶えず相手からの保証を求める
メランコリーの患者は他者の保証を求めない
- 18世紀後半 神経症は当初脳神経系の病気全体を指していたが、さまざまな器質的な病態が明らかになると、神経症は器質的な病態があきらかでない心理的な病気を意味するようになる
- 1859 Briquet ヒステリーを大脳の神経症と説明し、情念と情念の表現に役立つ生命活動の潰乱によって、感情的印象や感受性が亢進した病態であり、これは大脳の不調から生じるとした
- 1867 Criesinger 精神疾患は脳の病気である
- 1870 Charcot ヒステリー大発作、ヒステリー小発作
- Janet(1856-1947) 神経症を神経衰弱とヒステリーに分類 後者は神経系の遺伝的な脆弱性がある
- Freud (1856-1939) 商店を無意識の心に移し、心理的葛藤が苦痛を和らげるために身体的症状に変換されたと理論付け、神経症を無意識的葛藤を病院とする精神神経症、無意識的な葛藤がない現実神経症に分類した。精神神経症の中でも、他者との関係性の中で転移の現象がみられるものを転移神経症とし、転換性ヒステリーが含まれた
- 1915 Kraepelin ヒステリーの特徴 情緒動揺が異常に速やかに精神生活全体に影響するだけでなく、感覚脱失や異常感覚、表情、麻痺、痙攣などさまざまな身体症状ももたらすことである。心気症を、事故の状態への愛着に浸り、身体に没頭する傾向が強いヒステリーと位置づけた
- Stelel (1868-1940) 身体化という用語
- DSMの導入
- 1952 DSM-I 転換反応、分離反応
- 1968 ICD-8を基盤にDSM-IIが発表された ヒステリー神経症の転換型、分離型
- 1980 DSM-III 病態の病因や家庭には触れず、操作的診断基準による診断体系を目指すことになり、力動精神医学から生物学的精神医学に考え方が大きくシフトした
- DSM-IIIでは身体表現性障害が設けられた
- DSM-IIのヒステリー神経症の転換型は、DSM-IIIでは身体表現性障害の転換性障害となり、乖離型は解離性障害として身体表現性障害とは別に独立した
- 神経症の概念と用語については、そもそもこれはFreudの無意識的葛藤によって症状が形成されたものという精神力動的な病態過程が想定されており、操作的診断基準であるDSM-IIIでは矛盾が生じた
- 1987 DSM-IIIRでの身体表現性障害に関する変更点としては、心因性疼痛障害が身体表現性障害疼痛障害に呼称が変更され、診断基準から心理的な要因について削除されたことが挙げられる
- 1994 DSM-IVでは、身体表現性障害疼痛障害が疼痛性障害に再び呼称変更されたが、身体表現性障害の概念に大きな変化はなかった
- 2000 DSM-IV-TRにおいても本疾患について大きな変更はされなかった