転換性障害

山崎友子、三浦文華 転換性障害(転換ヒステリー) こころの科学 2013;167:40-44

  • 転換障害では、身体症状としてあらゆる症状(人間の想像力と運動能力の範囲内で)が出現する
  • 転換障害の診断大切なのは、まず身体疾患ではないということを十分に確認することである
  • 筆者は、脳腫瘍による視野欠損が生じた小児をヒステリーとして誤診してしまった経験がある
  • ICD-10の「障害の発症した理由が不明ならば、診断は疑いないし暫定的なものにいとどまらなければならない。疑問が残るかあるいは明確でない症例の場合、重篤な身体的ないし精神的障害が後で現れる可能性に常に留意すべき
  • 心因の特定は、患者がそのことを認めてない場合もあり、すぐには困難なこともお多い
  • なぜ、今この症状がでているのかという疑問をもって診察にあたり、患者の些細な言葉に、「それはなぜ?」という反応をしながら、症状がその人の生活や人生にどのような意味をもつのかという視点で眺めることが必要である。さらに、このように治療者が積極的に患者に関心を向け、心因を聞き出していく姿勢をもつことが、患者との信頼関係を生み、心因を明確にしていく土壌ができあがる
  • おわりに
  • 転換性障害(ヒステリー)は、実は一般の人が感じている「精神の病」というものの典型的な形を示す病気でないかとおもう。すなわち、単純にいえば、「何かショックなことや嫌なことがあってからおかしくなった」というものである。
  • ただ、自らの診断を振り返ると、患者の人生や心理に深く踏み込んで関わろうという姿勢の乏しい時にはその診断はなされない