身体意識とミラーニューロン

村田哲 身体意識とミラーニューロン clinical neuroscience 29(8);909-914;2011

  • ミラーニューロンはサルの腹側運動前野のF5という領域で記録され、他者の動作を見ている時に反応し、自分で同じ動作をするときにも活動するニューロンである
  • 側頭葉の上側頭溝(STS)の周辺の領域では、他者の行為に反応する視覚性のニューロンが知られている
  • 運動の表出に関わる活動を示すニューロンが、他者の動作を観察したときにも反応するものがミラーニューロンである。他者の脳の内部の状態をシミュレーションするということである。
  • Rizzolattiらはまず、マカクザルのミラーニューロンの役割として、他者行為の理解をあがえている。
  • 身体意識には、身体保持感と運動主体感が知られている。自己の身体やその部分が自己の所属しているという感覚が、身体保持感である。もう一つの運動主体感は、身体の部位を動かす場合に、その運動の実行者としての感覚である。
  • 予測と実際の感覚のフィードバックの情報との比較がおこり、運動を修正する。この遠心性コピーと感覚フィードバックの相互作用が意識に上り、運動主体感に関わると考えられる
  • 運動主体感には、運動前野と頭頂連合野のネットワークが重要である
  • 視覚優位型、視覚運動型、運動優位型
  • 頭頂連合野には運動実行のために、腹側運動前野から送られてくる運動の信号の遠心性コピーとそれを実行中の感覚フィードバックを比較するメカニズムがあると考えられる
  • 自他の区別のメカニズムにミラーニューロンが関わっているようである
  • 自己と他者身体が脳内で共有表現されていることが明らかにされ、他者の身体像は自己の身体像を参照しながら知覚されている可能性が示唆される。(ボディマッチングニューロン
  • 身体部位失認において脳が障害を受ける場所によって、自己の身体部位だけを指し示すことができない例と他者の新地部位のみを指し示すことができないれが見つかっている。前者は上頭頂小葉、後者は下頭頂小葉が責任領域である。
  • 他者の身体は自己の身体がモデルとなって知覚・認識される