水村和枝 筋・筋膜性疼痛 Practice of Pain Management 2012;3(1):30-24

  • 筋・筋膜性疼痛の特徴
    • 遠隔組織へ関連痛が生じることがある
    • 自発痛よりも痛覚過敏(圧痛、運動時痛)が多い
    • 運動機能への影響
  • 遅発性筋痛症をとっても、それが筋由来なのか、筋膜由来なのか判然としない
  • ヒトをつかった実験では筋膜のほうがより大きく関与していると報告されている
  • 筋に痛みを生じる刺激
    • 機械的刺激
    • 筋に痛みをおこす物質
      • ブラジキニン 血漿中や組織のキニノゲンから
      • セロトニン 血小板
      • ATP,Kイオン 細胞が壊れて時にでる
      • 酸 激しい運動の時にでる
      • 高濃度のグルタミンサン 由来不明
      • NGF 筋細径線維受容器に興奮を引き起こし、かつ機械感受性を増大する
    • 熱刺激
  • 筋からの痛み情報を伝える経路
    • 筋の痛みの受容器
      • Aδ線維、C線維
      • Mense 低閾値機械受容器、高閾値侵害受容器、収縮感受性受容器
      • 筆者ら ポリモーダル受容器
    • 筋の痛みの受容器の感作と炎症時の反応性変化
      • NGF 機械反応の感作を生じる。ブラジキニンや酸も筋侵害受容器の機械反応を感作する
      • 皮膚や関節では、非活動性侵害受容器の存在が知られている。炎症時にはこの受容器が機械感受性となることが、機械痛覚過敏のひとつの機構であると考えられている。しかし、筋ではいまのところこの受容器の存在は確認されていない
  • 筋性疼痛の中枢経路
    • 脊髄内終末 後角表層(I,II層)に終始し、その頭側へ広がりは皮膚よりも広く、内臓より狭いー筋の痛みが皮膚よりも局在性が悪いことと関係
    • 筋に炎症を誘発するとL3でもL5の多裂筋圧迫に応答する多くの細胞が記録できるー脊髄ニューロンの反応性は痛覚過敏がある状態では変化しているー反応するニューロンが尾側方向に広がるのは、筋痛み受容器終末が脊髄に入ってから頭側にしか伸びていない点を考えると不思議である
  • 痛みの調節系
    • 下行性抑制系
    • 下行性促進系 正常時にはあまり機能しておらず、慢性疼痛状態で機能が高まっているといわれる。伝達物質はセロトニンであるが、5HT(3)であるとされている。