本谷亮 緊張性頭痛への認知行動療法 痛みに対する認知行動療法が、身体科各領域で始まっている 第二回 精神看護 2011;14(5):62-64
- 緊張型頭痛 首や肩のコリといった身体状況と、さまざまな精神的ストレスが原因と考えられており、代表的な心身症の一つ
- 頭痛に対する無力感は、不適切な対処行動を導き、ますます頭痛を悪化させるという悪循環に陥る
- 緊張型頭痛には薬物療法のみではなく、頭痛マネジメントを目的とした心身医学的アプローチ、特に認知行動療法が重要であるといわれている。
- 慢性疼痛では、痛みの強さや頻度の多さといった症状の重症度よりも、痛みによってどれほど日常生活に支障を感じているかという心理的負担の方が、その痛みの維持や悪化に影響する、と近年の臨床研究で報告されています。つまり、患者さんの痛みに伴う生活上の支障を改善することが、「よくなった」という実感に結びつきやすい。
- そして生活し照度は、痛みを過剰に否定的に捉えてしまう考え(破局的思考)や、痛みが生じることへの強い恐れ(恐怖)、そしてそれに伴い行動を制限すること(逃避・回避行動)から影響をうけます。そのため同じ痛みを抱えた患者さんでも、その人の考えと行動によって日常生活の支障が増したり、痛みが慢性化したりするのです。
- 焦点は、「考え」と「行動」
- 緊張型頭痛患者さんの生活支障度の改善を目的として、特に痛みに対する”破局的思考”と”恐怖による逃避・回避行動”の減少に焦点をあてた認知行動療法プログラムとなっている。
- 認知行動療法
- 留意すべき点としては、緊張型頭痛患者さんのなかには、対人コミュニケーションスキルの不足、強迫的傾向、心気的傾向など、さまざまな心理社会的背景を持つ人もいるということです。その場合には、自己主張訓練、アンガーマネジメント、activity pacingなど、患者に適したプログラムをつかすることも必要であると考えます。
- 「なんとかして頭痛を治す」という頭痛ゼロの生活でなく、「頭痛がきてもやり過ごせる」という、頭痛と上手に付き合っていく生活を患者さんとともに目指すことが重要です。認知行動療法はそのための手段として有効だと言えるでしょう