- p315 疼痛教室
- われわれの疼痛教室ではまずはじめに痛みの定義を解説している。国際疼痛学会での痛みの定義「組織の実際の、または潜在的な損傷に伴うか、あるいはこのような損傷を表すような言葉で表現される不快な感覚的、情動的な体験」について説明し、痛みは主観的なものの一つであることを述べる
- ゲートコントロール理論 Melzack & Wall 1965
- 注意集中、注意転換、気分、予期、性格などの心理的要因が痛みの知覚に影響を及ぼしていることを説明するモデルが提供された
- 脊髄後角のゲートの開閉は、中枢からの下行性抑制系の影響を受ける。つまり思考や感情、認知がゲートの開閉に深く関係するのである
- ゲートを開く 不安、抑うつ、怒り、緊張、自律神経のバランスが崩れる
- ゲートを閉じる 幸福感、心が楽しい状態、リラックス、自律神経のバランスが良い
- 日常生活の中ではできるだけストレスを減らすようにし、趣味や仕事などなにか集中できることをできるだけ行うように指導する。慢性疼痛患者は身体を動かすことを嫌うため、身体を動かさないことにより正常な部位までも筋力の衰えや関節の拘縮をきたし、二次的な痛みをはっせいさせていることを説明し、痛くても身体を動かすように指導している。
- 外来集団治療
- 慢性疼痛患者の治療においては、認知行動療法を行う以外にも、「痛みのためいーできない」という誤った認知の修正が必要であるが、認知の修正がおこるためには患者自らが痛みを軽減させうるという認知(自己効力感)の形成が大切であることは認知行動療法のところで述べた。自己効力感を形成する情報源のうち「他者の行動の観察」および「他者の言語的説得」はこうした集団療法のなかで得られやすい。
- 心理学的治療法は痛みの部位的には頭痛、肩こりなどの痛みをもつ患者には比較的スムーズに受け入れられやすいが、腰痛、下肢痛などの慢性疼痛患者の大部分は自分の痛みの器質的原因を探し求めているので、心理学的治療法を適応するにはよほど説得力のある痛みのメカニズムを提示し、誤った認知の修正を行わない限り殆どうまくいかない。
- 慢性疼痛患者を抱えている家族は多くの場合その対応に困っており、また家族の反応が疼痛行動を強化していることが多い。