古川洋和 がん性疼痛への認知行動療法 痛みに対する認知行動療法が、身体科各領域で始まっている 第三回 精神看護 2011;14(6):66-69
- がんと闘う患者さんの多くが、がんによる痛み、化学療法の副作用による痛み、それらによって引き起こされる不安や抑うつ(ストレス反応)、という3つの問題を抱えている
- がんによる痛みや副作用による痛みは、痛みへの対処能力を低く評価し、痛みのことばかり考えてしまったり(破局的思考)、いつ痛みが強くなるのか気にし続ける(痛みへの注目)ような状態を招きます。こうした状態は、痛みそのものを悪化させることが臨床心理学的にわかっています。また、「ストレス反応』によっても患者さんは痛みを感じやすくなります。
- 認知行動療法プログラム
- リラックスする、痛みへの注目を減らす、痛みについての考え(破局的思考)を修正する、ストレス反応を減らす
- 痛みについては考え(破局的思考)を修正する
- 痛みを感じると、たとえば「何もできない」、「もっとひどくなるかもしれない」といったネガティブな考えが頭に浮かびます
- 頭に浮かぶ考えを修正するためには、認知的再体制化法、思考中断法などいくつかの方法がありますが、筆者が行なっている痛みについての考えを修正する方法は、まずポジティブな発想(たとえば「痛みで死んだ人はいない」「呼吸法で必ず楽になる」など)を患者さんと一緒に考えて用意します。そして、患者さんと一緒に、それを頭のなかでつぶやく練習をします。さらに患者さんには、実際に痛みを感じた時に頭のなかでつぶやくことを実践してもらいます